出世・給料・人事の「新ルール」#5Photo:asbe/gettyimages

経営トップの在任期間が長いほど、ガバナンス不全のリスクが上昇する。特集『出世・給与・人事の新ルール』(全10回)の#5では、代表取締役の「取締役在任期間」ランキングをお届けする。カリスマ経営者の後継難など潜在的なリスクを抱える企業が浮かび上がった。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)

後継者難が企業の重大リスクに
在任期間の長い「長老トップ」企業は?

 8月25日、日本電産の関潤社長が退任する見通しだという衝撃的なニュースが業界を駆け巡った。

 日産自動車出身の関氏は2020年に社長に就任、その後CEO(最高経営責任者)を兼務と昇格を重ねて永守重信会長の後継候補として地盤を固めてきたが、その永守氏が関氏への評価を急変させるなどして、22年4月にはCOO(最高執行責任者)に降格するという“異常事態”が発生していた。

 日本電産は、これまで幾度となく外部経営者を後継者含みで招聘してきたが、永守会長兼CEOは禅譲に首を縦に振ることはなく、社長候補はことごとく退任している。後継者不在は日本電産の深刻な経営課題となっており、株式市場でも78歳の永守氏の続投を「リスク」と見なし始めた。

 一般的には、日本の経営者は海外に比べて任期が短く、経営が長期的視野に欠けることがよく指摘される。だが、あまりに長い任期も経営層や権力の固定化につながり、ガバナンス不全の温床となる。日本電産のように、後継者不足が経営上の不安材料となることもある。

 そこで、今回代表取締役を務める大手上場企業の経営者を対象に、取締役としての在任期間が長い経営者ランキングを作成した。

 果たして、長老経営者がいる「高リスク企業」はどこなのか。次ページでは上位50社のランキングを公開する。