直接会うことが減り、オンラインでのやりとりが増えてきた今「手書き」文字は「個性」や「人柄」に触れられる数少ないツールとしてビジネスでの大きな武器となります。とはいえ、忙しいビジネスパーソンが字のおけいこに費やせる時間はさほどありません。そんな方に向けた新発想の美文字本が『簡単ルールで 突然、美文字が書ける』。字が苦手な人を長年指導してきた著者・萩原季実子さんが「字がうまく書けない理由」を研究し、少し変えるだけで飛躍的に字がうまく見えるポイントだけをルール化した本で、練習なしでも、誰でも、自分史上最高の「美文字」が書けるようになると話題です。この連載では、本書より抜粋しながら美文字のコツを紹介いていますが、今回は「美文字」になると、いったいどんなことが起こるのか、萩原先生ご自身が経験したエピソードをご紹介しましょう。

第一印象が薄い人でも挽回ができる、たった一つの方法Photo: Adobe Stock

第一印象がよくても残念な人もいる

 ある雑誌編集者さんからこんなお話を聞きました。彼女は職業柄、多くのファッションや化粧品のPRの方たちとおつきあいがあります。PRの方たちはその会社やブランドを代表する「顔」ですから、みなさんファッショナブルで美しくて、お話も上手な方ばかり。

 女性、あるいは男性として、とても”完璧な第一印象”の方が多いのだそうです。ところが送られてきた封書や、リリースに書き込まれた文字を見ると、「あれっ? あの人こういう字を書くんだ!」と”完璧な第一印象”との違いがあらわになることがあるそう。

 怖い話ですよね。実は大きな盲点になりがちなのですが、「自分の書いた字」も外見と同じくらい大きく印象を左右するのです。

 第一印象が素晴らしい人ほど、「雑な字や汚い字」との「マイナスのギャップ」が大きいので、負の影響が大きくなります。

 逆に、内向的で初対面ではそこまで「デキる人」の印象を残せなくても、きれいで丁寧な字の人は、後からカードや手紙などで挽回が可能です。

みなさんにもこんな経験はありませんか?

・第一印象はきちんとしたイメージだったのに、手書きで書かれた字の雑っぽさのギャップに驚いた。
・経営者や上司の字が汚くて、正直がっかりした。
・印象の薄い人だったけど、整った美しい文字で書かれたお礼状が届いて、好感を持った。

 自分の字を整えることは、思っているよりもずっとビジネスに影響をあたえます。
達筆なプロのような文字が書けなくても問題はありません。大切なのは、字を見た相手に不快感を与えない、整った字が書けることです。

 この連載でもお伝えしている簡単ルールに沿って書けば、大人っぽく美しく、誰に見せても恥ずかしくない字を書くことができます。