どうせ「心の審査」だろう、肖はすぐにWeChatに送信された張社長の振込先に「818元」を送金した。
それから数日間、張は少しだけ優しくなり連絡も多くなったが、ただ「愛人職」についてはまったく触れなかった。
1週間が経って、張社長は肖に「石清」という名の銀行口座を送って、愛の証明として肖に「521(我愛〈ウォーアイ.ニー〉=愛している)元」を送金させた。
前回の銀行口座と名前が違うので、肖はちょっと疑って確かめたが、「俺のボディーガードのもの」だと返されたので、納得してむろん内心で「やはり破産していない」とわかってひそかに喜んだ。
たった一週間のうち、親からもらった生活費の大半は消えてしまった。
だが数日後、張はまた電話してきて「2000元」を要求。肖はようやく「もしかして詐欺?」と思うようになった。
「お金はもうありません」と断った。
肖の強硬な態度から「詐欺はもうばれた」と気づいた張は豹変して、「送金しないなら、きみのヌード写真をネットにアップするぞ」と脅した。
自分のヌード写真をネット上に拡散されたら、今後きっと就職も結婚もできなくなる。肖は怯えた。しかし財布とバッグをひっくり返してありったけの金を集めても、1000元にしかならなかった。仕方なく「全部あげるから、写真をネットに上げないで」と懇願した。
しょせん貧しい農民家庭から出た新卒の大学生、職にも就いていないし、金なんかあるわけがないと見切りをつけて、張は「1000元を以て、今後金を強請ることもヌードをネットに上げることも互い連絡することも絶対にしない」と約束した。
本物の無一文になった肖。「詐欺師はちゃんと約束を守ってくれるか」、「お金に困るとまた脅してくるんじゃないか」などと心配し、考えれば考えるほど怖くなってとうとう警察に通報した。
2018年6月15日、警察は「石清」名義の銀行情報を調べて、大連市内のネットカフェで容疑者を逮捕した。