タイパを高めるだけでは「働きがい」は得られず、生活習慣を整えるだけでは「生きがい」を感じることはない
この人生経験から学んだ真理がある。
タイパ(タイムパフォーマンス)を高めるだけでは「働きがい」は得られず、生活習慣を整えるだけでは「生きがい」を感じることはない。
「やらされている=HAVE TO DO」じゃなく、「挑戦したい=WANT TO DO」という自発的な気持ちで「やりがい」があることに取り組んで初めて、生きる喜びを実感できるようになる。
すると人生の幸福度が高まり、自分らしさが自然に際立つようになる。それがさらに、あなたの「オーラ」や「オリジナリティ」となって人を惹きつけ、想像を超えた成果を創出してくれるのだ。
マネタイズより大切なこと
行きすぎた資本主義に毒された日本では、常に「経済性」が最優先され、寝ても覚めても「効率性と生産性」が求められる。
しかし、人生にはそんなことより大切なことがある──そう、「非効率で非生産的」なドリームタイムだ。
筆者が愛する釣りやカヤックや登山なんて「非効率で非生産的」な行為の最たるものだ。
詩を詠む、旅をする、スポーツをする、リベラルアーツを学ぶ、音楽を奏でるetc.──誰の目も気にせず夢中になれて、脳がハッキングされなければ何でもいい。他者や自然を著しく傷つけたり、倫理や法律に反してなければ何だっていい。
その時、効率性や生産性なんて無視だし、「お金になるか」「人の役に立つか」なんてことも一切考えない。「マネタイズ」や「貢献」を意識した途端、せっかくのドリームがつまらなくなり、美しき時間が苦役になってしまうからだ。
できる限り多くの“非効率な時間”を生み出すために“効率化”を徹底する
「できる限り多くの“非効率な時間”を生み出すために“効率化”を徹底する」
「“非生産的な時間”こそが心身をリカバリーさせ、結果として“人生のパフォーマンスと幸福度”を高めてくれる」
本連載で伝えたい大切な人生哲学である。
歴史を見ても、世界を変えてきた偉人の多くが、この「非効率で非生産的なドリームタイム」に人生を捧げている。生涯をかけて一つの数式に挑む数学者、全身全霊でキャンバスに向かう画家、自身の限界点を目指すアスリートetc.……。
そういった探求者たちが意図せず、結果として人類に大きく貢献してきたことは説明不要だろう。
あくなき知的探求、創造的探求、肉体的探求という「ドリームに生きる=本気で遊ぶ」──つまり「Dream Big」な──人生に振り切った人を見て、「自分もそう生きたい」と願うのは筆者だけじゃないはず。
自分の人生を取り戻すためにタイパを極め──つまり「Live Small」に徹し──可能な限り多くの「非効率で非生産的な時間」を創り出そう。そして、その美しきドリームタイムを最優先し、守り抜いてほしい。
繰り返すが、「短命で華々しく散る生き方」は推奨しない。伝えたいのはあくまで、サステナブルな働き方であり、持続可能な幸せ──つまり「太く長い人生」をデザインする流儀である。
そんな人生を目指し、淡々と生活習慣を整えて「オーガニックデバイス」をアップグレードし続けるのだ。
(本記事は、『超ミニマル・ライフ』より、一部を抜粋・編集したものです)