超ミニマル・ライフとは、「どうでもいいことに注ぐ労力・お金・時間を最小化して、あなたの可能性を最大化する」ための合理的な人生戦略のこと。四角大輔さんの新刊『超ミニマル・ライフ』では、「Live Small, Dream Big──贅沢やムダを省いて超効率化して得る、時間・エネルギー・資金を人生の夢に投資する」ための全技法が書かれてあります。本書より、「タイパにとらわれる人と、タイパで幸せをつかめる人。その考え方の違い」についてご紹介します。

「タイパにとらわれる人」と「タイパで幸せになれる人」の考え方。その決定的な違いPhoto: Adobe Stock

何のための時短術か

「オーガニックデバイス」の能力を最大化できて初めて、タイムパフォーマンスは最大化する。(前回も述べたが、筆者は、脳と体を合わせた肉体を「オーガニックデバイス」と呼び、メンテナンスとアップグレードに尽力してきた)

 すると、定時に退社して毎日の「セルフケアタイム」は充実し、週末や祝日をより楽しめるようになる。前著『超ミニマル主義』で伝授した休み方の技術とバカンス取得術を実践でき、多くの自由時間を手にできるようになっていく。

 だが、それは本連載が提案したい到達点じゃない。その先にある、素晴らしき世界を目指してほしい。

創出した自由時間の全てをドリームに投入する

 最小限まで減らした「HAVE TO DO=タスク」を、高性能のデジタルデバイスと、最高の状態のオーガニックデバイスで最速処理できれば、情熱を注ぎたい「WANT TO DO=ドリーム」に着手できる。

 そして、創出した自由時間の全てをドリームに投入するのだ。

 それは、時を忘れて夢中になれる「非効率で非生産的な」美しき時間のこと。

 そうして生み出したドリームタイムは、「何よりも好きなこと」「誰よりも大切な人との時間」「あなたにしかできない最高の仕事」に捧げよう

 これぞまさに、本連載の第1回目で紹介した「Live Small, Dream Big(小さく生活し、夢は大きく)」の真骨頂である。

 それは決して、「動画やSNSやゲームに意識を奪われる時間」「どうでもいい人付き合い」「サービス残業」じゃないのはもちろんのこと──「与えられた業務」「誰かに求められた仕事」「やらなきゃと思い込んでいる作業」でもない。

どんなドリームに自由時間を注ぎ込んだのか

 レコード会社時代、嵐のような「HAVE TO DO」に追われながらも──本連載で紹介していくメソッドを実践することで──大幅な時短を成功させて得た自由時間を、次のようなことに注ぎ込んだ。

 営業部や宣伝部にいた若い頃は、上から指示されるものではなく心から惚れ込んだ作品を本気で売り込んだ。

 プロデューサーとして独り立ちしてからは、音楽や広告の非効率な制作フローを刷新したり、前例がないメディア戦略やPRプランを立案・実行していた。

 プライベートでは人付き合いを最小限にし、フライフィッシングの練習、登山のための体力づくり、移住のためのニュージーランド研究と英語学習、そして環境学・生態学の勉強に励んだ。

誰でもない自分のための勇気

 こういった筆者の心が求める試みのほぼ全てが、難易度は高くて時間がかかり、仕事では常に反発され、知人からは理解されなかった。孤独だったが心の奥は満たされていた。

 こういったすぐ成果に表れず誰にも評価されない「非効率で非生産的なこと」こそがQuality of Life(人生の質)を高める。これらに時間を投資すればするほど大きなリターン──もっと言うと「壮大なギフト」が巡ってくる。

 それは、震えるほど感動する「出来事や人」との出会い、人生が劇的に好転する「幸運」といった、感謝しきれないほどありがたいギフトのこと。

 筆者も実際に、こういったギフトに導かれて15年来の夢が叶ったり、死ぬまで続けたいと思える「ライフワーク」を見つけたり、自分の意志で人生をデザインできるようになった。