すぐに医療機関を受診!
キケンな耳鳴り
先述のように、一時的なものや加齢による耳鳴りもあれば、早急な治療が必要な耳鳴りもある。緊急性が高い耳鳴りの特徴とは?
「2~3時間、あるいは1日中、片耳だけに耳鳴りがする、あるいは片耳が詰まっていると感じる人は、すぐに耳鼻科を受診してください。これらは『突発性難聴』や『急性低音障害型感音難聴』という疾患の症状で、医療機関で治療を受ける必要があります。どちらも聴力の神経が傷み、難聴になる病です」
突発性難聴と聞くと、“突然まったく音が聞こえなくなる病”をイメージしがちだ。しかし、聞こえにくさや、耳鳴りが症状として現れるケースも珍しくないという。
「突発性難聴の耳鳴りは『キーン』という甲高い音や『ピー』という電子音、あるいは『ザー、ザー』や『ジー、ジー』という雑音が聞こえる人もいます。加齢性難聴も似たような音が一日中聞こえますが、突発性難聴は“片耳だけ”に現れ、ほとんど再発しないのが特徴です。男女関係なく、どの年齢層も発症しますが、40~60代の働き盛りの年代に多い傾向があります」
突発性難聴の原因は特定されていないが、ストレスとの関わりが指摘されている。そして富田氏は「突発性難聴を発症したら、すぐに治療を受けてほしい」と話す。
「発症から48時間以内に、医療機関で治療を受けるのがベストです。この疾患が完全に治る確率は3~4割ほどですが、早期に治療を開始するほど聴力の回復が見込めます。しかし、1カ月以上、突発性難聴を放置すると治療しても治りません。『小さな耳鳴りだから、いずれ治るだろう』とそのままにしておくと、手遅れになる可能性があるのです」
失った聴力は戻ってこない。「たかが耳鳴り」と軽く考えるのは禁物だ。