ストレスや疲労が原因
「急性低音障害型感音難聴」

 もう一つの「急性低音障害型感音難聴」は、その名の通り、低い音が聞き取りにくくなる疾患。片耳が詰まっている感覚や「ブーン」というモーター音が一日中続くのが特徴だという。

「“耳の中に水が入っている感覚”と表現する患者さんもいます。聞こえる音は人それぞれですが、一日中耳の症状が続くなら、やはり早めに耳鼻科を受診しましょう。この病気は、20~30代の女性に多く、疲れやストレス、睡眠不足、自律神経の乱れが引き金になり、耳奥の内耳のリンパ液のむくみによって発症します」

 耳鳴りのほかに、ふわふわする“めまい”を感じる人もいるという。突発性難聴に比べて、治療によって聴力が回復しやすい一方で、再発のリスクがあるという。

「疲れやストレスを感じたときに、急性低音障害型感音難聴を再発するおそれがある疾患です。セルフケアとして日頃から1日1.5リットルほど水分を取ったり、体内の水分バランスを整える市販の漢方薬『五苓散』を服用したりすると、3日ほどで治癒するケースもあります。そうした対策をしても、3日以上症状が続く場合は、やはり耳鼻科で治療を受けましょう」

 ストレスや体調の悪化によって急性低音障害型感音難聴は発症・再発する。片耳から聞こえる低い音の耳鳴りは、体からの警告音なのかもしれない。

「そのほか、どこかにぶつけて耳に圧がかかったり、タイヤがパンクした音を聞いたりしたあとに、耳鳴りが治まらない場合も要注意。鼓膜の破れや、耳の奥まで圧がかかり、難聴になっている可能性があるので、すぐに医療機関を受診しましょう」