ヘッドホン・イヤホンの
長時間利用はNG
音の種類や聞こえ方によってリスクが大きく異なる耳鳴り。富田氏は、緊急性が低い場合は「耳鳴りを気にしないことも快適に過ごすコツ」と話す。
「心配性の人やきちょうめんな人は、耳鳴りにとらわれやすく、意識するほどより強く音を感じてしまう悪循環に陥りがち。『加齢性難聴』の耳鳴りが気になるなら『これはキケンな耳鳴りではない』と自らに言い聞かせるだけでも、気が楽になりますよ」
また、加齢性難聴を防ぐ生活を送ると耳鳴りの予防につながる、と富田氏。とくに耳を酷使している人は、意識的に“耳を休める”必要があるという。
「最近は、電車移動中にイヤホンをつけて動画や音楽を楽しむ人が増えています。車内での視聴中は、音量を上げて動画の声が聞こえるようにしているかもしれませんが、その分、耳には大きな負担がかかっているのです。そのままの生活を続けていると、20年後に急激に聴力が落ちるリスクが高まります。視聴しないのがベストですが、せめてノイズキャンセル機能があるヘッドホン・イヤホンを使い、雑音を抑えつつ小さなボリュームで視聴するように心がけましょう。また、耳栓をして“耳を休める時間”も取り入れてください」
耳のケアをおろそかにしていると、加齢性難聴の発症を早めてしまうのだ。まずは、耳をいたわる習慣を身に付けよう。
「日本人の3割が耳鳴りに悩んでいます。もしも、その音が大きなストレスになっているならば、一度耳鼻科を受診してみてください」
医師に相談して耳鳴りの原因とリスクを正しく知り、適した対策を取る。それを実践すれば、より長く自分の聴力をキープできるはずだ。
富田雅彦氏
医学博士
山形大学医学部医学科卒業後、新潟大学医学部耳鼻咽喉科学教室に入局し、新潟県内の病院で研修、診療。2006年に新潟大学医学部博士号取得。新潟大学耳鼻咽喉科助教に就任した後、長岡赤十字病院耳鼻咽喉科部長として勤務。2019年に富田耳鼻科クリニックを開院し、多くの患者と関わる。また、You Tubeチャンネル「耳鼻科医富田のいいみみCh」を通して、耳、鼻、喉の情報を発信中。