「暇つぶし」のリテラシーを身につける
これから、物質的に余剰の多い先進国に住む人びとは、人生の目的を「生存」から「創造」へ変えていかざるを得なくなるだろう。多くの人にとっては、パラダイム転換とも映る変化である。そのためには、辛い苦行も必要となるだろう。
まずは、骨の髄まで染み込んだ労働者根性を徹底的に洗い流す必要がある。そのためには、ニートや浪人として、名実ともに生産を放棄する期間が必要だ。きれいさっぱり洗い流すのに、通常は1〜2年かかる。
最初は慣れないだろう。ニート初級者ができるのは、せいぜい単純な暇つぶしである。20〜30代の男性ならば、GREEと2ちゃんねるとパチンコと漫画喫茶通いかもしれない。だが、そのうち、そうした娯楽に飽きるときが必ずくる。禁断症状が出てくる。どうしても社会復帰したくなる。そのような娯楽に生きる意味を見いだせなくなるからだ。
だが、この期間を耐えて、なんとか従来の社会の指標ではなく、自分だけの「指標」を設計しなければならない。そこで求められるのは「暇つぶしのリテラシー」である。
暇つぶしのリテラシーは、最初は単純なものでいい。ナイキ+でジョギングを記録し、クックパッドのマイフォルダ機能で、自分がつくった料理のレシピを増やし続け、農園をつくり野菜を育て、収穫を記録することで十分だ。小さな記録と小さな達成感が、やがて成長を生み、進化を促す。徐々に、より大きくて、より社会的な目標が生まれる。少しは人に貢献してみようと思うようになる。
そして続けるうちに、貢献をお金に変換できるようになる。それが新しい時代の仕事の仕方である。すると次は、仕事と仕事を組み合わせて、さらに大きな価値を産み出すシステムをつくろうと考えるだろう。それがビジネスである。ビジネスの本質は組織化にある。
いずれ、仕事は「遊び」であり、事業は「価値と信用を創造するゲーム」にすぎない、と悟るときがくる。こうして、人生の目的が「生存」から「創造」に変わる。
人生の意味が「創造」へと変われば、人はもっと自由に生きられるようになる。少しずつでも、今はその準備をすることが大切だ。
(次回は3月19日更新予定です。)
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