人びとはSNSをきっかけとして、物理的な近さに関係なく、価値観の合う友人との結びつきを強め、価値を直接交換するようになる。その土台となる新たなコミュニティ・ネットワークづくりこそ、私たちが今まさに取り組むべきことだ。仕事や家庭に忙しいビジネスパーソンであれば、ナイト&ホリディ(平日の夜と休日)の活用が、新たな生き方をみつけるきっかけになる。

 フェイスブックなどソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)は、今や僕たちの生活の中に完全に入り込んでいる。利用者人口は、約5000万人にのぼるという(インターネットメディア総合研究所12年6月調べ)。

 SNSの価値は、友達の近況が分かるようになったことだけではない。その本質は、「人間関係のつながりを可視化し、信用の紐帯を創り上げたこと」にこそある。ネットワーク上で、クレジット・ライン(信用の紐帯)ができ始めると、そこで価値を直接交換する流れが出てくる。

 これまで資本主義社会では、お金が価値と信用のふたつを表現するメディアであり、価値をいったんお金に変換して、別の価値や財に変換する方法が採られてきた。ところが、ネットワーク上に個人の信用がある程度保全されている信用主義社会では、お金を使わずとも価値交換が直接できる。

 だからこそ、逆にこれからは、価値交換の土台となるクレジット・ライン(信用の紐帯)をつくること、相互扶助の共同体をつくることこそが、未来の自分にとってもっとも効果的な投資だ。

 しかも、これから創造される新しいコミュニティは、従来とは少々異なる。場所でも仕事でもなく、その人が何を考えているか、何を大事にするか(美意識)といった軸で、人びとはつながっていく。

 人びとが物事をシェアし、コミュニティをつくる理由は、利便性が高まったり、コストが低くなるためだけではない。むしろ、その人との意識上のつながりを確立し、その共振・共鳴・創造を楽しむためだ。人は、近所に住んでいる他人、話の合わない職場の同僚より、世界の果てにいても価値観の合う友人との結びつきを、ますます強めていく

 そのような世界で僕たちは、まず自分の価値観を明確にしなければならないし、そのうえで、自分の価値観に共鳴する人が世界の果てに存在することに「想像」をめぐらせ、実際にそこへ出かけていく必要がある。それは、長期的にみれば、決して高いコストではない。