“飽くなき挑戦”の象徴である
ロータリーエンジンとスポーツカー搭載への期待

 さて、マツダはロータリーエンジン復活をこの8Cだけに留めてよしとしているのだろうか?もちろん、そうではないだろう。マツダの技術者はもとより、多くのクルマ好きにとっても、ロータリーエンジンに求めるのは、やはりRX-VISIONのようなスポーツカーに搭載されること。そんな“夢”への期待がかかるこの8C誕生には、未来のロータリーエンジン搭載車を新たに生み出していくという役割があるのではないかと思う。

マツダ“新型ロータリーエンジン8C”誕生で夢膨らむ、「スポーツカーへの搭載」はある?2015年の発表以来いまだに待望論が消えない『Mazda RX-VISION』

 マツダはすでに高いエンジン効率を達成しているSKYACTIV-G/D/Xを持っている。企業としてもさまざまな制約がある中、新規のロータリーエンジンを開発するという決定は、ロータリーエンジンがマツダの象徴であるということや、技術者の挑戦心、さらには夢やロマンということだけで成立するわけもない。

 マツダが今後電動化を推し進めるうえで、マツダの自動車づくりのフィロソフィーや総合的な視点で見ても、シリーズ式PHEV用エンジンとしてロータリーエンジンを用いることは、彼らにとって理にかなっている選択肢だったのだ。そして、それがロータリーエンジン開発を今後も続ける大義名分にもなるはずだ。

マツダ“新型ロータリーエンジン8C”誕生で夢膨らむ、「スポーツカーへの搭載」はある?MAZDA・MX-30 Rotary-EV

 マツダは、彼ら自身が想い描く形の“ロータリーエンジンがある世界”を創るためにも、まずはこの8Cで先人からいまに継承する知恵と新たな開発技術の融合によって、徹底的に突き詰めた“発電用ロータリーエンジン”の開発と、工場設備の確立、そして実際に市場導入を通じて、未来に続けるためのロータリーエンジン進化の道を作り上げたのだ。