現在のエンジン組み立てラインではレシプロとロータリーを混流していなかったが、素材からの機械加工工場では、加工治具を乗せ換えることでさまざまなパーツを高い精度で製造することを可能にしている。それまで1種類しか作れなかったラインが、“混流生産”によりフレキシブルに複数の部品を生産可能にしたということが非常に重要なポイントだ。それはかつて販売されていたRX-7やRX-8に搭載された13Bロータリーエンジンの補修部品の生産継続に大きな役割を持っているのだ。
“混流生産”方式の導入が
ロータリーエンジンの進化の歴史を継続させた
ここで過去のロータリーエンジンがどのように進化してきたのかあらためて振り返っておこう。
1967年コスモスポーツに搭載された10A型ロータリーエンジン登場以来、唯一1969年発売のルーチェ・ロータリークーペ搭載13A型を除き、量産したロータリーエンジンはすべて同一のディメンジョンであり、ローター幅を60mm、70mm、80mmと変更することで単室容積(1ローターあたりの排気量)を変化させてきた。
これは、開発リソースやコストの問題など複数の理由があるかもしれないが、製造面では異なるディメンジョンのエンジンを同一製造ラインでは作れないという理由があった。なにより製造ラインを新しく作るには莫大な費用がかかる。1970年代のオイルショックを経て、1980年代には徐々に搭載車種を絞ってきたロータリーエンジンが製造ラインを複数持つことは不可能だった。