超ミニマル・ライフとは、「どうでもいいことに注ぐ労力・お金・時間を最小化して、あなたの可能性を最大化する」ための合理的な人生戦略のこと。四角大輔さんの新刊『超ミニマル・ライフ』では、「Live Small, Dream Big──贅沢やムダを省いて超効率化して得る、時間・エネルギー・資金を人生の夢に投資する」ための全技法が書かれてあります。本書より、“重い人付き合い”を軽くする3つのティップスについてご紹介します。

「嫌いな人、苦手な人」をうまくかわす3つの方法Photo: Adobe Stock

“重い人付き合い”を軽くする3つのティップス

 ここでは、楽で効果的な人間関係をデザインするための、3つの技を伝授したい。元々、人付き合いが一番の苦手だった筆者が、厳しいビジネスシーンを生き抜く中で身に付けた処世術と呼べるものだ。

1、言葉をソフトに変換する

 どうしても好きになれない「嫌いな人」を「ニガテな人」と、表現を変えてみよう。漢字の「苦手」じゃなく、片仮名の「ニガテ」にしているのは、こちらの方がよりソフトな印象になるからだ。

 そうするだけで、「その人が悪い」のではなく、自分が「その人と合わないだけ」と思えるようになるのがいい。「言霊(ことだま)」という日本語があるように、口にする言葉はあなたの感情や思考パターン、行動に大きな影響を与える。

 例えば、「嫌い」と1回だけ言葉で発すると、脳内では何万回もリピートされていて、ある種のプログラムとして記憶領域の奥深くに刷り込まれてしまうという。

 逆に言えば、少しでもポジティブな言葉に変換するだけで、その人に対する「記憶領域での解釈」を、いい方向へ書き換えられるということ。こういった脳内作用のことを、認知科学では「プライミング効果」と呼んでいる(※1)。

「ニガテ」という言葉を繰り返し使っているうちに、「嫌い」という荒い感情が鎮まり、遂にはその人への態度さえも軟化するようになるからおもしろい。

「仕事ができないヤツ」を「ときどき抜けちゃう人」に、「会いたくないヤツ」を「たまに会えればいい人」に、「許せないヤツ」を「残念な人」に変換するだけで、怒りやネガティブな黒感情が薄まり、その人と接する時間がわずかに楽になるから不思議だ。

2、心の距離を置いてみる

 次に、ニガテだと思う人をできる限り避けてみよう

 ただし、「一切顔を合わせない」「完全に無視する」というわけではない。そうできたとしても、険悪な関係になったり罪悪感にさいなまれるだけ。

 最初は少しだけ「心の距離」を置いてみるだけでいい。これは、「誰とも分け隔てなく接しないといけない」という思い込みを捨てるための、通過儀礼だと思ってもらっていい。

 まず、その「ニガテな人」を話題に出さないようにする。もちろん悪口も言わない。これは、できる限りその「ニガテな人の存在」を頭から消し去り、文字通り「心の距離を置く」ため。

 そして、「陰口を言った後にその人と会うと気まずい」という誰もが経験済みであろう、あのなんとも心地悪い状況にならないようにするためでもある。

 とはいえ、近い人に愚痴を聞いてもらうことで心が軽くなることもある。その場合は、愚痴る相手を一人に決めること。あなたに最も近い存在、恋人やパートナー、または一番の親友がいいだろう。

 仕事関係の人、親戚、知人といった、あなたへの全面的な愛がない人には決して言わないこと。多くの場合──いや、ほぼ100%──そういった人は誰かに言ってしまうからだ。

 そして、決して深刻な顔をせず、にこやかな表情で「笑い話」のように軽快に愚痴るようにしてみよう。その際、そのニガテな人のキャラに合わせて、かわいいニックネームを決めて「ちゃん」や「くん」を付けて話すといい。

 話の導入部分がポイントとなる。例えばこんな感じで。

「ねえ聞いて~例のジャイアンくんがね~」

 この導入の「ねえ聞いて~例の○○くん(ちゃん)がね~」を固定フレーズにして笑顔で愚痴に入ることができれば、いいテンションで話すことができ、心は一気に軽くなる。当然、毎回愚痴を聞かされる相手も気が楽になる。

 これを習慣化できれば、あれほどニガテだと思っていた相手のことを、少しだけ愛おしく思えるようになるから不思議だ。

3、物理的な距離を置いてみる

 職場であれば、ニガテな人のデスクの真横を通らないルートを選び、用件は対面ではなくメールに徹してみる。親戚や仲間の集まりであれば、その人の隣に座らないようにし、やりとりが必要な時はチャットで済ませる。

 直接話をせざるを得ない時は、伝えることを事前に最小限にまとめておき、話す時間を1秒でも短くすべく努める。これはビジネスにおける基本マナーだから、コミュニケーションのいい訓練になる。

 ただし、非常に重要なポイントがある。徹底的に礼節は尽くすことだ。

 特に「いい挨拶」と「いい返事」は絶対で、一切の隙なく気持ちよくやってしまおう。当然、できる限り明るい笑顔で実行すること。瞬間的なことだから誰でもできるはず。

 筆者は若い頃、ニガテな人の前だとつい顔が引きつるため、毎朝鏡の前で「笑顔で挨拶する練習」をしていた。これはとても有効なので、バカにせず試してみてほしい。