日本の古き伝統で身を守る
日本が誇る「型どおりの礼儀作法」という伝統文化は、非常に便利なツールだと知っておこう。これを「最強の鎧(よろい)」にして、あなたのネガティブな感情を態度や表情には一切出さず、相手に悟られないように努めるのだ。
失礼のない完璧な礼儀で接することができれば、あなたの「ニガテ意識」が相手に伝わることはない。つまり、「ニガテな人との社会的なつながり」を維持しながらも、「ストレスにならない距離感」を保てるのだ。
欧米で、「つながり」と「距離感」を両立させようと思うと、実はとても難しい。日本にあるような「礼儀作法の型」がないからだ。
つまり、これは世界的に見ると非常にハイレベルな妙技なのだが、日本文化を身に付けた人であれば簡単にできてしまう。これは我々の特権といえるから、活用しない手はない。
相手に悟られることなく「接触機会・接触時間」を減らし、「心と物理的な距離」を若干つくるだけで気持ちがグッと楽になる。いつの間にか、その人に感じていた「ニガテ意識」さえもなくなっていくところが興味深い。
最後に、この話をすれば難しい人間関係にさらに前向きになれるはず。
膨大な数の微生物が活躍する人間の腸内には「善玉菌・日和見菌・悪玉菌」の3つが存在する。
実は、その理想のバランスがあり、「2:7:1」といわれている。「善玉菌」が「2」より増えても、「悪玉菌」が「1」より減っても、腸内環境のバランスが崩れるという。
つまり、腸内において「悪玉菌」は必須ということ。この絶妙な割合は、「どんな人であろうと、組織や社会では何かの役割がある」と教えてくれる。
あなたにとっては不要かもしれないが、誰かにとっては必要な存在かもしれない──そう思えば、ニガテ意識はより薄れてこないだろうか。
(本記事は、『超ミニマル・ライフ』より、一部を抜粋・編集したものです)
【参考文献】
※1 宇都出雅巳「『口ぐせが現実を変える』が科学的に正しい訳」東洋経済オンライン(2017年5月21日)