米モフィットがん研究センターの報告では、中咽頭がんや子宮頸がんを引き起こすHPV(ヒトパピローマウイルス)の口腔内陽性率は、6.6%だ。
同センターの研究者らは、米国の歯科クリニック43施設を定期的に受診している18~60歳の男女3196人(平均年齢39.6歳、女性55.5%)が使用したうがい液を採取。試料から25種類のHPVのDNAを検出している。
調査期間は2021年11月~22年3月で、参加者は性別や年齢などの基本的な情報と、HPV感染リスクになる行動についての質問に回答している。
回答によると、中咽頭がんリスクの喫煙歴(現喫煙者を含む)は、男性30%、女性21%、歯周炎・歯肉炎の有病率は男性27.4%、女性20.2%だった。
これまでに異性の性交パートナーが6~25人いた人は、男性33.5%、女性34.0%、26人以上は男性が14.2%、女性が5.7%だった。同性の性交パートナーが6人以上いた男性は6.3%、女性は2.8%だった。
また男性の3割、女性の1割が6人以上の異性の口腔性交パートナーがいたとし、同性の口腔性交パートナーが6人以上いた人は、同0.5%と1.6%だった。
検査の結果、口腔内HPV陽性率は6.6%、がんの原因となるハイリスク型の陽性率は2.0%だった。性別のHPV陽性率は、男性9.1%、女性4.9%、ハイリスク型は同3.3%、1.0%と男性が有意に高かった。また年代で分類すると、51~60歳の男性の陽性率が最も高く、HPV陽性率は16.8%、ハイリスク型は6.8%だった。
男性の口腔内HPV陽性リスクをまとめると、中高年、ヘビースモーカー、26人以上の同性性交パートナーあり、同じく26人以上の異性の口腔性交パートナーあり、という条件が明らかになった。
男性の中咽頭は、女性の子宮頸部と同様に「HPVの感染・増殖に適した粘膜組織」だ。
HPV関連のリスク行動に心当たりがあり、飲み込むときの違和感などが気になる場合は、耳鼻咽喉科で相談してみよう。
(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)