口にすればするほど、本当に老けていく
「もう歳だから…」は絶対に言わない

「もう歳だから」が口癖になっている人がいる。確かに40代後半あたりから、運動をすればすぐに息切れし、何かとやる気や根気がなくなっていく。その意味では、「もう歳だから」という言葉自体は間違っていないのかもしれない。しかし、いつまでも若々しくありたいのなら、決して口にしてはいけない言葉だ。

 なぜ、自分が歳を取ったということを口にしてはいけないのか。これは「プライミング効果」という現象で説明できる。先に受けた何らかの刺激によって、その後の行動や判断が影響される心理効果を指す。

 たとえば、ドラマでショートケーキを食べるシーンを見ると、何となくスイーツがほしくなる。あるいはカレー店の前を歩いたときにスパイスの良い香りが漂ってくると、夕飯にカレーを食べたいと心を動かされる。

 こうしたプライミング効果を扱ったニューヨーク大学の興味深い研究を紹介しよう。学生に5つの言葉を使って短い文章を作るように指示したものだ。その実験のなかで、ひとつのグループだけには「シワ」「白髪」「髪が薄い」「忘れっぽい」といった高齢者をイメージさせる言葉を混ぜておいた。

 そして各グループが文章を作成したのち、別の部屋に移動してもらった。そのときの移動速度を測定したところ、高齢者を連想させる言葉を使ったグループのみ、歩く速度が遅くなったのだ。これは高齢者の言葉のイメージに引きずられて、行動がゆっくりしたものになったのだと説明されている。

 この研究結果から、「もう歳だから」を口癖にしていると、たとえそれが本心ではなかったとしても、無意識のうちに高齢者っぽい行動を取るようになる可能性がある。老けないためには、絶対に使ってはいけないNGワードだったのだ。

「もう歳だから」のほかにも、「若くない」「老けたから」「疲れた」「しんどい」「もう嫌だ」といった言葉も禁句にしよう。口にすれば、その言葉のイメージに行動が引っ張られて、どんどん老けていってしまうかもしれない。