840億ドル(約12兆6000億円)の規模を持ち、暗号資産(仮想通貨)の世界とドルを橋渡ししている「ステーブルコイン」であるテザーが、マネーロンダリング(資金洗浄)やテロ組織による資金調達、制裁回避に関する捜査で名前が挙がるケースが増えている。テザー(USDT)は売買量が世界で最も多い仮想通貨で、ドルとの交換比率を一対一に保っている。現金を隠す、他の仮想通貨に投資する、ドルなどの伝統的な通貨と交換するなどの目的で使われている。さまざまな起訴状やブロックチェーンに関する分析、発動された制裁を見ると、テザーのもう一つの用途は不正な金融取引のようだ。この1年だけでも、イスラム組織ハマスの資金調達、中国から合成オピオイド「フェンタニル」を持ち込む業者への支払い、北朝鮮の核開発プログラムの資金確保、いずれも制裁対象であるロシアのオリガルヒ(新興財閥)向けベネズエラ産原油の購入などに使われたようだ。
仮想通貨テザー、ハマス資金調達などで暗躍
仮想通貨テザーに関わる捜査で、イスラム組織ハマスや麻薬の密輸組織、北朝鮮、制裁対象のロシア人らの名前が挙がるケースが増加
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