プールから救助?搬送される救急車の様子までネットに
中国の李克強前首相が10月27日未明、上海で死去した。李氏が今年3月に、首相の座を退いたばかりで、68歳というあまりにも早すぎた逝去は世間の注目度も高い。この死去について、議論が紛糾するリスクを強く意識したのか、中国のメディアは早すぎると言ってもおかしくないスピードで同氏の死を速報した。
例えば、香港を拠点にする鳳凰網は下記の通り報じた。
「先日から上海で静養していた李克強同志は、2023年10月26日、突然の心臓発作が起こり、懸命に救助していたにもかかわらず、27日0時10分、上海で死去した。68歳。訃報は後日お送りする」
しかし、中国のネット上では、この報道が出た当初の画面をスクリーンショットにしたものが流れ出た。スクリーンショットに書かれている報道の発表時間は、なんと公式に公表した死亡時間の数時間前の26日午後8時7分だった。
複数の情報からまとめると、李氏が亡くなる直前の動きはこうだ。
首相の座を去った李氏は11月5日から始まる「第6回中国国際輸入博覧会2023」を見たいと思って、しばらく前から、上海にやって来て、浦東新区金科路にあるホテルに泊まっていたという。そして26日の午後10時30分頃から、同ホテル内にあるプールで水泳を始めた。プールの水温が低かったせいか、突然、心筋梗塞になった。警備担当者が異常に気付き、すぐに救助して一番近い病院に急送したが、亡くなったということのようだ。救急車の中で心臓の鼓動が止まった瞬間を知らせる医療機器の音声や、あふれる涙を懸命に抑えようとする看護師の表情を撮影した動画もインターネットに流出している。
搬送された病院は同じ浦東新区にある「上海中医薬大学付属曙光医院東院」だった。
漢方医学専門の同病院は、心筋梗塞の緊急治療においては上海の華山病院、華東病院や瑞金病院ほど豊富な経験を持っていなかった可能性もある。曙光医院と救援に駆けつけてきた他の病院の医療関係者が懸命な救助活動を続けたが、李氏の命を取り戻すことはできなかった。