日本でこそ徹底テレワーク
「同調圧力」を良い方向へ

 仮にわが国の社会が、彼女の主張を全面的に受け入れて、これに可能な限り適合したら何が起こるだろうか。日本の社会は良くも悪くも同調圧力が強い。皆で同じ方向を向いて、競うように物事を進めやすい。

 実は、働き方にも規模の経済効果が働く。テレワークが標準になると、業務プロセス自体がテレワークに対して効率化されるだろうし、機器の使用なども含めてテレワークのための工夫や投資が進むはずだ。

 テレワークこそが標準の働き方で、これを実践できないのは恥だ、となるとテレワークは加速的に普及するだろうし、効率が一段と改善するはずだ。コロナ初期の頃のように、間に合わせの動作が遅いパソコンで、もそもそと仕事を進めるテレワークからは大きく改善するはずだ。すると、どうなるか。

 考えてみるに、数々の意外なほど素晴らしい効果が現れるように思われる。実は、彼女は日本の進むべき道を示すために動画を投稿してくれたのではないかとさえ思えてくる(もちろん、そんなはずはないのだろうが)。

 以下、メリットを列挙する。

メリット(1)
通勤時間削減による生産性の向上

 大都市圏にある会社に勤める場合、通勤に片道1時間を掛けるケースは珍しくない。では、往復に要する2時間が必要なくなると何が起きるか。

 まず、勤務時間中の生産性が同じなら、浮いた2時間分が有効活用できる。動画のZ世代女子が言うように、早く仕事を終えた時間の全てをプライベートな楽しみに充てる必要はない。

 浮いた時間の一部は何らかの「生産」に回されていい。同じ会社で仕事があれば、追加で働いてもいいし、それ以外の何らかの副業に関わってもいいはずだ。労働者1人が生む付加価値は増加する。「1人当たりGDP(国内総生産)」にばかりこだわることには疑問なしとしないが、数値は増えるはずだ。