孫娘が「認知症の祖母」をいじる動画がTikTokで大ウケ、“韓流”の次のZ世代ブームが何か変だNurPhoto / Gettyimages

つい最近まで、若者の間では「韓流」の大ブームが起きていました。ですが、今夏から少し潮目が変わってきた印象です。Z世代に「最近ハマっていること」を聞いても、韓国関連のコスメやアーティストの名前が挙がることが減りました。その代わりにSNS上では「なぜこんなものが?」と疑問を覚えるような動画が人気になっています。その中には、孫娘が「認知症の祖母」をいじっている、胸が苦しくなるようなコンテンツも――。こうした動画の流行の背景にある、意外な要因を探ります。(芝浦工業大学教授 原田曜平)

韓流ブームがやや下火に?
代わりに「奇妙なトレンド」が台頭

 Z世代の研究を行っている、芝浦工業大学教授の原田曜平です。今回は、若者の中で巻き起こり始めた「ちょっと奇妙なトレンド」について解説します。

 若者のトレンドといえば、その筆頭格といえるものが「韓国(韓流)ブーム」です。以前から本連載でも紹介してきましたが、もはやZ世代の中では、韓国コスメを試したりK-POPを聴いたりするのは“常識”になっています。

 最近は韓国への興味が募るあまり、韓国の大衆食堂で使われているような「古風なお皿」を購入するなど、かなりマニアックな消費行動を取る若者が出てきました。本当は肉料理も好きなのに、あえて「韓国風ヴィーガンジェラート専門店」などを訪れている若者も実際にいます(詳細は本連載の過去記事を参照)。

 ですが、今夏から少し潮目が変わってきました。

 さまざまな若者たちに「最近ハマっていること」や「気になっていること」を聞いた結果、韓国関連のコスメやアーティスト、お店、グッズなどの名前が挙がるケースが減ってきたのです。

 もちろん、全くのゼロになったわけではありません。今夏の調査でも、ある若者が「注目しているお店」として、新大久保に新規オープンしたカフェバー「SCENE clos」(シンクロ)を紹介してくれました。

 このお店は韓国発のオンラインセレクトショップ「cloline」がプロデュースしていて、日本ではかなり珍しい韓国産コーヒーを飲むことができます。「毎月の営業時間をInstagramで発表する」という仕組みを取っているので、気軽に再訪問できるとは限らず、特別感がある点も魅力の一つだそうです。

 ただ今回、Z世代のトレンドを調査する中で「興味がある」と話してくれる若者が多かったのは、韓国とはあまり関係のない、ちょっと奇妙なカルチャーでした。その具体例と、筆者が考える流行の要因を、これからお話していきます。