沢井製薬「異例のトップ人事」の波紋…不正をあぶり出した新社長が謝罪会見で被弾の皮肉写真提供:医薬経済
*本記事は医薬経済ONLINEからの転載です。

 沢井製薬の木村元彦常務が、新社長に就任したのは今年6月27日のことだ。社長だった創業家出身の澤井健造氏が突然、代表権を返上して経営トップから退くと表明し、代わりに木村氏が抜擢されたことから「異例の人事」などと騒がれた。健造氏が退任したのは当時、「業界活動に専念する」との理由だったが、その後、それらしい活動をしているようには見えない。表舞台から姿を消した格好だ。

 一方の木村氏。社長就任から4カ月後の10月23日、大阪本社で開いた緊急記者会見に姿を見せると深々と頭を下げた(上の写真左)。

「患者様並びに医療関係者の皆様に多大なるご心配をおかけしたこと、心よりお詫び申し上げます」

 沢井製薬は同日、九州工場(福岡県飯塚市)で製造していた抗潰瘍薬「テプレノンカプセル50㎎『サワイ』」の品質試験で不正があったと発表。同社は7月に同剤を自主回収していたが、品質試験での不正は明らかにしておらず、木村氏は報道陣に詰め寄られた。社長交代がなければ健造氏が謝罪しているはずの事案だったが、矢面に立っていたのは木村氏だった。