中国経済停滞や不動産不況の元凶「国進民退」、習一強体制は民営重視にかじを切れるかPhoto:PIXTA

今年3月まで2期10年にわたり中国の首相を務めた李克強氏が10月27日、68歳の若さで死去した。構造改革に重きを置いた李克強前首相であれば、現在の中国経済の足を引っ張る「国進民退」(政策の恩恵が国有企業に集中し、民営企業が蚊帳の外に置かれること)にどのような処方箋を書くのだろうか。(大和総研経済調査部長 齋藤尚登)

成長力低下の根底に
横たわる「国進民退」問題

 中国国家統計局によると、2023年7~9月の実質GDP(国内総生産)成長率は前年同期比4.9%(以下、断りのない限り、変化率は前年比、前年同期比)と、4.5%前後とみていた市場予想を上回った。1~9月は5.2%成長となり、23年は政府成長率目標の5.0%前後をやや上回る着地となる可能性が高まった。

 だからといって、景気は強いわけではない。20年の第1次コロナショック下の実質成長率は2.2%、21年は反動増もあり、8.4%成長を遂げ、2年間の平均は5.3%であった。

 一方、第2次コロナショック下の22年は3.0%に減速し、23年が当社の想定通りの5.4%となった場合、2年間の平均は4.2%にとどまる計算だ。24年の実質GDP成長率は4.3%程度と予想している。

 景気が力強さに欠けるのは、不動産不況やリベンジ消費の不発によるところが大きい。この根底に横たわるのが「国進民退」問題なのである。

 次ページ以降、「国進民退」がいかに中国経済の停滞につながっているかを検証していく。