東急電鉄Photo:PIXTA

新型コロナウイルス禍が過去のものとなりつつあるが、多くの業界においてコロナ前への完全な逆戻りは起きず、新たな事業環境に突入している。そこで上場約50社、15業界における月次の業績データをつぶさに見ると、企業によって業績の明暗がはっきりと分かれている。前年同期と比べた月次業績データの推移を基に、「嵐」から「快晴」まで6つの天気図で各社がいま置かれた状況を明らかにする連載「【月次版】業界天気図」。今回は、2023年9月度の鉄道(関東の私鉄)編だ。

今春に運賃値上げした影響は出ている?

 鉄道(関東の私鉄)の主要5社が発表した2023年9月度の月次業績データは、以下の結果となった。

◯東急電鉄(東急)の運賃収入
 9月度:前年同月比122.7%(22.7%増)

◯小田急電鉄の運輸収入
 9月度:同113.3%(13.3%増)

◯京王電鉄の旅客運輸収入
 9月度:同107.9%(7.9%増)

◯東武鉄道の運輸収入
 9月度:同112.1%(12.1%増)

◯西武鉄道(西武ホールディングス〈HD〉)の運輸収入
 9月度:同112.9%(12.9%増)

 5社いずれも前年の実績を超えている。その上、京王電鉄以外は10%以上、東急電鉄に至っては20%以上、増収している。

 鉄道各社は今春、運賃の値上げに踏み切っている。次ページで、各社の過去約4年分の月次の推移をデータで振り返り、大きなダメージを受けたコロナ禍からの回復度と値上げの関係性について分析してみよう。