まず、中学生でピアスをすることは、医療的にはなんら問題はありません。本人としては、おしゃれをしたいとか、憧れの人に近づきたいというイメージがあって、ピアスをしたいと言っているわけなので、校則に問題なければ禁止する理由って特にないよね、というのが私の考え方です。

 ピアスを良くないものとする理由として、「親からもらったからだに傷をつけるなんて」という考え方が聞かれますが、この世に生まれた瞬間から死ぬまでずっと無傷でいるなんてことは考えられないわけですから、転んだケガで傷がつくのとピアスで傷つけるのは別だというのも、子どもからしたら説得力に欠けると思うんですね。

「大人になったらいいよ」などと条件を付けるのも、子どもを独立した人格として扱うならば、あまり望ましい回答ではないように思います。

 ピアス以外にも、メイクや髪型など、思春期の娘さんが自分の外見に対して「こうしたい」「こうでありたい」という気持ちを持つこと自体は、ごく自然なことです。その気持ちに対して、からだに傷をつけないでほしい、できるだけ自然にすごしてほしいという気持ちはわからなくはないのですが、もしかすると親のエゴかもしれない、とも思うわけです。

思春期の娘が「かわいく生んでほしかった」「お父さんに似なければよかった」~親は何と答えるべき?高尾美穂さん 写真:東川哲也(朝日新聞出版写真映像部)