このたび、『カヨ子ばあちゃんの うちの子さえ賢ければいいんです。』を刊行し、自らも2人の息子を育てた「脳科学おばあちゃん」久保田カヨ子氏(80)に、子育てのコツを伝授していただく4回連載企画。
愛知県犬山市にある株式会社脳研工房。小さな一軒家を借り上げてスタートしたこの会社の2階には、カヨ子ばあちゃんに育児法を教わりにくるお母さんやお父さんと子どもたちが集まっています。
はたして、ここではどのような教育法が行われているのだろうか。
育児教室では、「生きる力」を身につけさせる
私が立ち上げた愛知県犬山市にある株式会社脳研工房では、《クボタメソッド》を盛り込んだ脳育ポスター『うまんま』、赤ちゃんが初めて手に取る本『うまんま絵本』、知的教育を目的にしたプリント教材『プリントワーク』などを制作し、発行しています。
そして、社屋の2階の教室には、いろいろなお母さんと子どもたちが集まってきます。
私は、いまから約20年前に、東京で主婦の友社と【赤ちゃん教室】を開き、都内12教室でおよそ200人の母子に、久保田式育児法《クボタメソッド》を教えていました。
その後、姑の介護に専念する必要があったため、15年ほど育児の現場から離れていたのですが、その間、私が提唱した《クボタメソッド》が十分、世の中に伝わっていないこと、そして伝統的な“母子相伝”の育児法が忘れ去られようとしていることに危惧感を抱き、再び育児の現場に戻ろうと決意しました。
こうして、2008年、愛知県犬山市の株式会社脳研工房で、新たな生活をスタートさせたのです。
はじめは、赤ちゃんを集めるのに大変苦労したのですが、テレビに出演したお陰で、あっという間に10人ほどの赤ちゃんが集まり、久し振りの【赤ちゃん教室】も始まりました。
今年、そのいずれの子も、年齢が3歳前後になったので、いよいよ知的教育を目的にしたオリジナル教材『プリントワーク』を使って、ひらがなやカタカナ、漢字、運筆、模写、図形、数学的センスを育むための学習をスタートさせます。
ただ、ここに至るまでにも、さまざまな物語がありました。
いや、むしろ知的教育を行う前の段階で、ひとりの人間として生きるための力をしっかり身につけることこそが、重要だと思っていただいてもいいでしょう。
たとえば、どこかが痛くて泣く場合も、ただ泣くのではなく、キチンと痛む箇所がどこなのかを母親に伝えられるようにすることが大事です。
まさに、コミュニケーション能力を育てていくことと同じです。
もちろん、こうした能力は、ただ放っておくだけで勝手に育つものではありません。
母親がしっかり自分の子どもに手をかけていく必要があるのです。
ちなみに、痛いところをきちっと教えるのは、男の子よりも女の子のほうが早くからできます。
基本的に、男の子に比べて女の子のほうが発育が早いので、こうした差が生じてきますが、いずれにしても、自分の痛いところを自ら伝えられるようになるコミュニケーション能力を育てるのは、まさに「生きる力」を身につけさせているのと同じことになります。