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2025年以降の日本では、団塊世代の親の介護に追われるビジネスケアラーが急速に増加すると予測されている。ビジネスケアラーとは、「働きながら介護する人」「仕事と介護を両立している人」のこと。介護にかかる莫大な費用に終わりの見えない介護期間……働き盛りの介護リスクにあなたは備えているだろうか。本稿は、酒井穣『ビジネスケアラー 働きながら親の介護をする人たち』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです。
介護で仕事を辞めたら再就職できず
できても年収は男性4割、女性5割減少
介護のために仕事を辞めてしまった場合、再就職までにかかる期間はどれくらいだと思いますか?
この期間として統計的に最多となっているのは1年以上です(男性の38.5%、女性の52.2%)。1年以上も仕事から離れていて、条件のよい就職先が見つかると思いますか?現実として、運よくあらたな職場を得たとしても、収入は男性で4割減、女性で半減するというデータがあります。
介護を理由に仕事を辞めるなら、まず、1年以上収入が途絶え、再就職できたとしても今の半分程度の年収になっても生きていけるだけの貯金が必要です。貯金が足りないまま辞めてしまえば、親が資産家でもないかぎり、あなたは生活保護を申請することになります。
ご存じのとおり、生活保護は、申請さえすれば簡単に受けられるというものでもありません。仮に住宅ローンや自動車ローンが残っていれば、そうした資産を手放すことになり、一家離散という可能性さえ出てくるのです(脅しではなく、現実です。個人的にも、こうして一家離散したケースを複数聞いています)
介護は、いちど始まると、いつ終わりになるか予想ができません。子育てとは真逆で、介護は、時間とともに負担が増えるという特徴もあります。
介護期間の目安となるのは、平均寿命から健康寿命(心身健康でいられる年数)を引いた年数です。日本でこれは、だいたい10年程度(男性8.7年、女性12.1年/2019年)になります。ですから介護生活は、少なくとも10年は続くことを想定しておく必要があります。
しかも、この期間のうちに、老化をともないながら、親の健康状態は悪化していくのが普通です。はじめは半身不随などの身体的な問題だったところに、認知症(重度化すると意思の疎通ができなくなる)も重なってきたりします。
仕事を辞め年収が半分になって10年も経つと、ビジネスケアラーとして働き続けた場合からは想像もできないほどの貧困になります。
さらに今後の日本は、物価高になっていくと予想されています。いつ終わるともしれない介護に悩まされながら金銭的にも厳しくなると、精神的な余裕がなくなり、虐待にもつながることもあります。
あなたの親は、自分の愛する子どもが、自分の介護のせいで、そうした状態になることを本当に望んでいるでしょうか。
介護の負担額は平均月7、8万円
介護期間の見積もりは平均14年
金銭的な話をすると「うちの親にはそれなりに資産があるから大丈夫」と考える人もいるかもしれません。しかしそれは、本当でしょうか。先回りしておきますが、介護には相当なお金がかかり、仮に資産が十分にあったとしても、大丈夫ではありません。
そもそも、介護にかかるお金(介護保険でカバーされない自己負担部分)がいくらくらいになるのか、誰もが不安に思っているでしょう。
これを実際のデータで見ると、バリアフリー化や介護ベッド、緊急対応の交通費や宿泊費といった初期費用(一時費用/自己負担)としてかかっているのは、平均で80万~90万円程度でした(この数字はバラツキが大きいため注意も必要です)。また、毎月かかっている費用(自己負担)は、平均で7万~8万円程度になります。
脅しではなく、日本の社会保障は、少子高齢化と税収の低迷を受けて、劣化していくでしょう。ですから、このような介護にかかるお金の平均もまた、今後、必ず上がっていきます。そのうえ、おそらくは物価も上がっていくことになるのです。
冷静に考えれば、これからの介護の費用が実質的に上がっていくことは、想定に入れておく必要があることがわかるでしょう。
それでは実際に、介護をしている人々は、どう考えているのでしょう。







