中国の習近平国家主席は2021年、中国が米国に代わって世界一の経済大国になるとのスローガンを世に広めた。「東昇西降(東側が台頭し、西側が衰退する)」というものだ。同年に中国は新型コロナウイルスの大流行をほぼ抑え込み、10年ぶりの高い経済成長率を記録したが、米国はコロナの度重なる感染拡大とインフレ率の急上昇に苦しんだ。その年の秋に開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議でジョー・バイデン米大統領とオンライン会談する直前、習氏はこの数十年で最も強力な中国の指導者として正式に位置付けられた。バイデン氏は、大統領の座にとどまろうとして失敗に終わった前任者の影にまだ苦しんでいた。習氏とバイデン氏がAPEC首脳会議の開催に合わせて今回はサンフランシスコでの対面形式による会談の準備を進める中で、習氏のスローガンは自信過剰だったように見え始めている。中国経済はしぼみつつある不動産バブルや、手に負えないほどの地方政府債務、信頼感の急低下やデフレなど、幾つもの難題に悩まされている。一方の米国は、インフレが沈静化する中で、四半期ベースでは約2年ぶりの高成長を記録したばかりだ。中国の国内総生産(GDP)の規模は2021年には米国のGDPの75%だったが、今年7-9月期には64%まで縮小し、2017年当時とほぼ同じになった。
下り坂の中国経済、習氏はもはや大口たたけず
米好景気で2年前の米中首脳会談時と形勢逆転
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