水も食料もない「極限状態」のガザの人たち、ハマスの攻撃をどういう思いで見ているのか写真はイメージです Photo:PIXTA

 パレスチナ自治区ガザ地区でイスラエルによる攻撃が続く中、ガザ住民は食料や水などが断たれ極限状態に置かれている。ガザの人たちはハマスの攻撃に何を思うのか。ジャーナリストの土井敏邦さんと慶應大学教授の錦田愛子さんが語り合った。AERA 2023年11月20日号より。

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錦田愛子(以下、錦田):パレスチナ自治区ガザ地区での戦闘が始まって1カ月が過ぎ、ガザの死者数は1万人を超えました。これまでのイスラエルとの戦闘でパレスチナ側の死者は、最多で2014年の約2400人。今回イスラエルはガザが壊滅的になるまで報復するだろうとは思いましたが、これほど死者数が増えるとは開戦直後は考えませんでした。

土井敏邦(以下、土井):14年ガザ攻撃のイスラエル側の死者は73人でしたね。今回は初日で約1400人。私も現在のパレスチナ側の未曽有の被害は予想できませんでしたが、08~09年と14年のガザ攻撃を現地で取材した経験から、「イスラエルはこれまでとは全く異次元の報復をするだろう」とまず思いました。

 驚いたのは、ハマスが5千発ものロケット弾を撃ったことです。ガザの民衆の貧困をずっと見てきた私からすると、「どこにそんな金があったんだ」と。同じく民衆が貧困に苦しむ中で核兵器を作り、ミサイルを発射している北朝鮮と、ふとイメージが重なりました。

 日本国内の反応で違和感を持つことがあります。とくにパレスチナの支援運動をする人の中に、ハマスの行為を「占領への抵抗の闘い」と言う人がいます。

 私は、それは違うと思う。野外音楽祭での無差別乱射など、ハマスがやったことは紛れもなく「テロ」であり、「虐殺」です。そうきちんと定義しないと、その後のイスラエルによる攻撃で一般市民がすさまじい勢いで殺されることに対して、パレスチナ人は“道義的な正当性”を失い、イスラエルの行為が「テロだ」と言えなくなります。

錦田:私も、少なくとも音楽祭での民間人をターゲットにした行為はテロだと思っています。客観的に両者の行為をテロと位置づけ、お互いの責任を取らせないといけない。

 ただハマス側は、今回のことを「抵抗運動の一環」ととらえていると思います。たしかにイスラエルの民間人に犠牲者は出したけれど、ガザだって長年の封鎖により適切な治療も受けられず多くの民間人が亡くなった。それと同じだとハマスは考えているのではないかと。