パチンコ、麻雀、女、酒、タバコを欠かさず、ほぼニート状態の父親。それに母親が共依存するという複雑な家庭環境に育った。14歳のとき、父親が自己破産して失踪。貧しい生活を支えた母親は病に倒れ、半身不随に。苦境のなか、独学で大学に合格、奨学金を得た。そして、兄・成田悠輔がくれた本をきっかけに「起業」を志した。話題の書『14歳のときに教えてほしかった 起業家という冒険』(ダイヤモンド社)の著者・成田修造は、体当たりで起業家の道を歩むようになる。本書は起業を通じた人生の指南書で、何歳からでも組織に頼らず、副業・独立・起業でビジネスを展開するときに必須の内容。これからは会社員であっても、自分で事業をつくれると強い。その思考法とノウハウを全公開する。
※本稿は、『14歳のときに教えてほしかった 起業家という冒険(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。
兄・成田悠輔がくれた2つのアドバイス
兄・成田悠輔からすすめられた2冊の本を読んだのとほぼ同時期に、兄は僕に2つのアドバイスをくれました。
●「やりたいことと、お金の交差点を探せ」
ビジネスマンの必須スキルとして、一般的には「IT・ファイナンス・英語」が挙げられます。しかし、兄からは「起業家精神」という言葉が出てきました。
起業家精神とはなにか?
起業家精神という言葉を僕なりに解釈すると、「何かに依存せず自立して、社会や人のために目標を立て、リスクをとって行動する姿勢」と言いかえられます。
実際にゼロから起業するかどうかに関係なく、何かに依存せず自立して、社会や人のために目標を立て、リスクをとって行動する人材になれるか。
ここで問われるのが、起業家精神です。
ベンチャーが世を賑わす
兄がこのアドバイスをくれた2008年は、初代のiPhoneが発売された翌年でした。
米グーグルがモバイル基本ソフト(OS)「アンドロイド」を発表したり、マイクロソフトが世界的なSNSになろうとしていたフェイスブック(現・メタ)に2億4000万ドルを出資したりと、世の中が大きく変革していた頃だと思います。
2000年代は、日本でも楽天などの新興企業がプロ野球球団を保有したり、ソフトバンクが携帯電話事業に参入したりと、ベンチャーが世の中を賑わせました。
既存の枠組みから飛び出す
そうした世の中の動きを見て、兄は起業家精神という言葉を使ったのかもしれません。
これからの時代は、大企業など既存の枠組みから飛び出した起業家が世界を塗り替えていく。
「そのことに気づいて行動していったほうがいいよ」と、兄は伝えたかったのかもしれません。
よく考えよう、お金は大事だよ
2つめのアドバイス「やりたいことと、お金の交差点を探せ」も、印象的な言葉でした。
単に「やりたいことをやれ」と言わないところが、兄らしさです。
やりたいことができたとしても、お金にならなければ続けられません。かといってお金ばかりを求めていると、人生は虚しいものになってしまう。
理想と現実のはざまで考える
理想だけでもダメだし、理想がなくてもダメ。
僕たち兄弟は、父が理想を求めて人生を壊してしまったり、お金を得るためにやりたくない仕事につかざるをえない状況になってしまったりと、そういう姿を見てきたというのも大きかったのかもしれません。
自分らしく、なおかつ経済的にもある程度余裕を得ながら生活できる。そんな状態を目指すべきだということを、あらためて僕が社会に出るタイミングで兄は教えてくれたのです。
※本稿は、『14歳のときに教えてほしかった 起業家という冒険』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。