本人の承諾なく、裸や、性的な画像を不特定多数の人が見られるようにすることをリベンジポルノという。一度流出・拡散してしまうと、完全にデータを回収・抹消することは難しく、被害者の受ける心的苦痛は非常に大きい。女子高生のA子さんは、ある日自分の性的画像が同級生の間で共有されていることを知った。犯人に心当たりはあったが、学校は事件が知られることを恐れ、犯人を教えることを拒否してきた。2014年にリベンジポルノ防止法が施行されたが、相手が分からなければ捜査をしてもらうことも、裁判を起こすことも難しい。A子さんはこのまま泣き寝入りするしかないのだろうか?(リード法律事務所代表弁護士 大山 慧)
「私の裸がネットに!?」女子高校生の性的動画が流出
しかし学校は警察の関与を嫌がり、犯人の名前も教えない
都内の私立高校に通う女子高校生A子さんは、ある日、友人から告げられた衝撃的な知らせに言葉を失った。
「大変、A子の裸の動画がスマホで見られているよ!」
わけが分からないまま、友人のスマホでチャットアプリの内容を確認すると、そこには確かにA子さんが裸で自慰行為をしている動画が映し出されていた。
「B男だ……!!」
実はこの動画は、同じ学校に通い交際中のB男とビデオ通話中に、自慰行為をするよう求められたときのものだった。しかし、B男がこっそり録画していたことをA子さんは知らなかった。それどころか、勝手に友人たちに動画を共有し、それが学校内に拡散されていたとは青天の霹靂だった。
B男に対する怒りとともに、この動画はどうしたら消せるのか、将来就職や結婚が決まったときに誰かに悪用されることはないのか……さまざまな不安でいっぱいになったA子さんは、両親に相談した。
両親が学校に問い合わせたところ、学校側も事件を認知し、関与した生徒に対する聞き取りや動画の流出経路の調査を実施した。しかし、関わった生徒がほぼ特定できたにもかかわらず、学校側はA子さんと両親には犯人の名前を教えなかった。警察を関与させるのを嫌がり、対象生徒の退学処分のみで事を済ませようと考えたのだ。