年々警察への相談件数が増えているリベンジポルノ
「リベンジポルノ防止法」とは?

 犯人が特定できない状態で、裁判を起こすにはどうしたらいいのか? 弁護士の考えた戦略は、あえて犯人が誰か分からない状況で刑事告訴を断行することだった。

 予想通り、警察は「犯人の名前も分からないのに刑事告訴は受けられません」と難色を示したが、学校側の対応の不合理性、違法性について強く警察を説得して刑事告訴を受理させ、犯人については警察の捜査により割り出すこととした。

 ここで「リベンジポルノ防止法」について少し説明しよう。

 リベンジポルノは通称で、正式には「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」といい、サイバー犯罪防止法の一つである。

 本人の承諾なく「性欲を興奮させ刺激するプライベートな性的画像・動画」を公表または他人へ提供する犯罪で、警察への相談件数は2023年に6年連続で過去最多を記録した。リベンジポルノというと、世間では元交際相手や元配偶者への腹いせというイメージが強いが、交際当事者以外や面識のない相手に対しても、条件を満たしていれば犯罪は成立する。

「私事性的画像記録」に該当するのは以下のような行為をいう(同法第2条参照)。

・性交または性交類似行為の様子をとらえた姿態
・他人が人の性器などに触る行為や人が他人の性器等を触る行為をとらえた姿態
・衣服の全部/一部を身につけない人の姿態
(※雑誌のグラビアのように、撮影対象者が第三者に見られることを承諾したものは除外される)

リベンジポルノ防止法だけでなく、
児童ポルノ禁止法にも抵触するケース

 今回の事件では、B男の行為、つまり出回ってしまうことが分かっていて動画をスマホで友人たちに共有したことが、同法第3条3項の「公表目的提供罪」に当たり、成人であれば1年以下の懲役または30万円以下の罰金、未成年でも少年鑑別所へ収容される可能性がある。

 さらにA子さんは事件当時18歳未満であったため、B男および犯人たちは通称「児童ポルノ禁止法」(第7条2項、同条4項及び同条5項)にも抵触していた。

 児童ポルノ禁止法は、正式名称を「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」といい、児童(18歳に満たない者)を相手方とする性交・性交類似行為を記録したデータ(児童ポルノ)所持を禁じる法律で、こちらは流出させなくともスマホに保存しているだけで犯罪に当たる。