コロナの感染拡大による在宅勤務や生活スタイルの変化により、20~30代の若い人たちの間で、つみたてNISA口座を開設する動きが急増した。そして、2024年からは新NISAがスタートする本連載では、新NISAをきっかけに投資や資産形成を始めてみたいという人に向けて、失敗しないためのポイントをわかりやすく解説していく。新NISAはこの9本から選びなさい』(中野晴啓著、ダイヤモンド社)の内容を基に、一部を抜粋して公開する。「新NISAってなに?」というビギナーの人でも大丈夫。基本的なところからわかりやすく説明するので、ぜひ最後までお付き合いください。

一般NISA&つみたてNISAと、新NISAの大きな違いとは?Photo: Adobe Stock

新NISAのしくみ(その1)
口座開設期間の恒久化と非課税保有期間の無期限化

 「新NISA」について、旧来の一般NISA、積み立てNISAと大きく異なる点について説明しましょう(下図)。

 一番のポイントは、口座開設期間の恒久化非課税保有期間の無期限化が実現したことです。

 一般NISAや積み立てNISAは、それらの口座を使って株式や投資信託を購入できる期限が設けられていました。たとえば一般NISAは、当初2023年が投資可能期間の最終年でしたし、つみたてNISAであれ場2037年が最終年でした。

 つまり一般NISAであれば、2024年以降は制度そのものがなくなって利用できなくなり、それ以降も投資非課税制度のメリットを享受したいのであれば、つみたてNISAを用いるより他に方法がなかったのです。

 また非課税期間も、一般NISAは5年、積み立てNISAは20年というように期間が限られていました。一般NISAで購入した株も同じで、積立投資した投資信託を、20年間の非課税期間が終了した後も保有し続ける場合は、やはり課税口座に移さなければなりませんでした。

 しかし、2024年1月からスタートする「新NISA」では、口座開設期間が恒久化されるのと同時に、非課税保有期間も無期限化されました。

 これは非常に大きな改善点です。NISAを利用している人たちにとって、利便性が一気に高まりました。なぜなら、いつ投資を始めたとしても、あるいはいつまで投資したとしても、保有期間中に生じた利益については非課税扱いになるからです。これこそ、NISAという制度がスタートした時から、私たちが金融庁や国税庁に対して求めていたことなのです。

中野 晴啓(なかの・はるひろ)
なかのアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
1987年明治大学商学部卒業。セゾングループの金融子会社にて債券ポートフォリオを中心に資金運用業務に従事した後、2006年セゾン投信株式会社を設立。2007年4月代表取締役社長、2020年6月代表取締役会長CEOに就任、2023年6月に退任。
2023年9月1日なかのアセットマネジメントを設立。
全国各地で講演やセミナーを行い、社会を元気にする活動とともに、積み立てによる資産形成を広く説き「つみたて王子」と呼ばれる。公益社団法人経済同友会幹事他、投資信託協会副会長、金融審議会市場ワーキング・グループ委員等を歴任。
著書に『新NISAはこの9本から選びなさい』『最新版 つみたてNISAはこの9本から選びなさい』(ダイヤモンド社)他多数。