今年11月、世界最大のブランディング専門会社インターブランドは、グローバルのブランド価値評価ランキング「Best Global Brands 2023」を発表した。全体的に前年に比べて成長率は鈍化したが、それでも成長率が高い企業は存在する。ランキングを基に、企業のブランド価値が成長した理由を分析する。(ダイヤモンド・ライフ編集部)
ブランド価値総額は3兆3000億ドル
成長率が伸び悩んだ要因は?
グローバルのブランド価値評価ランキング(以下、グローバル・ブランドランキング)とは、グローバルに事業展開を行うブランドを対象に、そのブランドが持つ価値を金額に換算してランキング化したもの。ブランドが顧客に対して提供する価値だけではなく、現在、そして未来の社会に対する役割や責任に関する活動の評価として、環境・社会・ガバナンス(ESG)データを導入している。
ランクインしたブランドの価値総額の成長率は、2022年の対前年比16%増に対し、今年は同5.7%増と昨年の目覚ましい成長から急激に鈍化。ブランド価値総額は3兆3000億ドル(22年は3兆1000億ドル)となり、世界のトップ100ブランドの多くが伸びを見せているものの、成長率は鈍化していることが明らかとなった。
伸び悩みの主な要因として、インターブランド社は「成長志向の相対的な希薄化、ブランド・リーダーシップの保守化・弱体化、高まる不確実性と将来への見通しの甘さ」を指摘している。長期的な傾向として、あるカテゴリーのみで事業を展開し、漸進的なアプローチをとっているブランドは、ブランド価値の成長が鈍化していることを表している。
反対に、複数のカテゴリーに展開しているブランドが価値総額の50%を占め、引き続きランキング上位を独占。ブランドをより重視することにより、競合相手に対して急成長を遂げることが可能になっている。
次ページではグローバル・ブランドランキングを基に、企業のブランド価値が成長した理由を分析する。