『週刊ダイヤモンド』12月9日号の第1特集は「新・理系エリート」です。小中高生から大学生、社会人までそれぞれが新たな時代の理系エリートになる道に迫ります。(ダイヤモンド編集部 臼井真粧美、野村聖子、ルートマップマガジン社・西田浩史)

人気の情報系学部・学科でも
需給逼迫までには至らない

 少子化が進む中、国は2010年代半ばから大学側に人文科学系などの文系リストラを促すようになった。

大学「理系」は今が“入り時”!時流に乗る高いDX・GX系学部でも受験倍率が跳ね上がらない理由大学受験の歴史は、景気が良い時期に文系が人気になる「文高理低」、景気が悪くなると理系人気になる「理高文低」を繰り返してきた。コロナ禍になると理高文低が続いたが…(写真はイメージです) Photo:PIXTA

 その一方で、AI・データサイエンスの急速な技術進化が社会やビジネスに大きな影響を与え、また世界的に脱炭素化へ向けた再生可能エネルギーの活用が進むことから、デジタル系人材やグリーン系人材を育成する理系学部・学科の充実を後押しする。

 大学側は文系の定員を減らし、理系、文系と理系を融合した文理融合型の学部・学科にその数を充てるようになった。しかし、受験者側のシフトが追い付いていない。理系科目が苦手で文系に逃げた者が、定員を増やしたところで自然と流れてくるわけではない。

 大学受験の歴史は、景気が良い時期に文系が人気になる「文高理低」、景気が悪くなると理系人気になる「理高文低」を繰り返してきた。コロナ禍になると理高文低が続いたが、直近は「現3年生で明確な理系人気の傾向は見られなくなっている」とベネッセコーポレーションの教育情報センター長である谷本祐一郎氏は言う。

 これは受験生にとって、大チャンスである。

 次のページの表は、最新23年における理系学部・学科系統別の状況だ。募集人員数と志願者数について、10年前の数値を100としたときの指数で見ると、情報科学、情報工学、総合情報学といった情報系の伸びが目立つ。