サイカは2012年2月に代表取締役CEOの平尾喜昭氏が立ち上げた。統計分析を強みとしたデータ分析のコンサルティング会社としてスタートした同社にとって1つの転機となったのが、「自分たちの業務を効率化する」目的でMAGELLANの前身となるクラウド型の統計分析サービスを開発したことだ。

このサービスを簡単にデータ分析ができるツールとして外部にも提供してみたところ、特に企業のマーケターから多くの反響があった。そこでマーケターの課題解決に焦点をあてるかたちでプロダクトをアップデートし、2016年にMAGELLANとして展開を始めた。

同サービスではオンライン広告・オフライン広告を統合して各施策を評価することで、それぞれの成果への貢献度だけでなく、ROI(費用対効果)を踏まえた最適な予算配分を算出できる。分析のプロではない“現場のマーケター”でも使いこなせるのが特徴で、これによって「結局どの広告がどれだけ成果に繋がったのかがわからない」「その結果として適切な予算配分ができない」というマーケターが抱える課題の解決に取り組んできた。

たとえば大企業の場合、テレビCMを実施する際にはオンライン広告や交通広告などと連動してプロモーションをかけることが多い。そのため「テレビCMだけの成果」を正しく評価するには、他の施策の成果を差し引いて考える必要がある。

MAGELLANはさまざまな広告を複合的に分析する仕組みを整えてきたからこそ、テレビCMの効果も高い精度で分析でき、特に広告予算が大きい大企業から評価されてきたという。

MAGELLANのサービスイメージ。同サービスではテレビCMを始め、さまざまな広告の効果を統合的に分析できる
MAGELLANのサービスイメージ。同サービスではテレビCMを始め、さまざまな広告の効果を統合的に分析できる

こうした背景もあり、顧客からの要望に応えるかたちで2020年にはテレビCM広告代理事業としてADVAを立ち上げた。ADVAはテレビCMプランニング最適化ツール、動画クリエイティブ制作サービス、成果報酬型テレビCM出稿サービスの3つから構成されており、この事業を通じて「テレビCMの出稿から分析まで」を一括で支援する。

MAGELLANで培った分析技術をもとにテレビCMのすべての出稿プロセスを定量的に評価し、売上などの事業成果を最大化する出稿プランを作れるのが大きな特徴。ビジネスモデルも業界ではユニークで、出稿前に合意した事業成果を獲得できた場合に初めて管理進行費が発生する成果報酬モデルを採用した。

「テレビCMの領域に挑戦するにあたって、2つのことを絶対に変えたいと考えていました。1つはデータサイエンスを取り入れることです。つまり経験や勘だけに頼るのではなく、もっと蓋然性を持って実行できるようになるべき。この観点ではオンライン広告の方が進化が早く、(予算として)巨大なテレビCMについても実現しなければならないと思っていました」