「もう1つがビジネスモデルです。顧客の売上に関係なくマージンをもらう従来の代理店モデルではなく、顧客と同じ方向を向いて同じ成果を目指し『御社が成功しなければ僕たちもマージンをもらえないんですよ』という仕組みを作る必要があると考えていました」(平尾氏)

平尾氏の話にもあるように、オンライン広告の世界ではデータの活用が進んでいることもあって「テレビCMを科学すること」に対してのニーズは以前から存在していた。ただ「テレビCMの予算は聖域」のように扱われることもあり、オンライン広告ほど急速には変革が進んでいなかった。

それが新型コロナウイルスの拡大を1つのきっかけに変わり始めているという。コロナ禍で今まで以上に企業の広告費に対する考え方がシビアになり、特に大企業を中心に広告効果の説明責任が強く求められるようになってきているわけだ。

そこで分析技術に強みを持つサイカの引き合いが増え、従来は既存の大手広告代理店に依頼をしていた企業がADVAに乗り換える事例も増えてきているのだという。

2020年9月に前回の資金調達を実施した際は、まさにこれからADVAに力を入れていくという段階だったが、現在は「利益ベースではMAGELLANと肩を並べるくらいの事業に育ってきている」(平尾氏)状況とのこと。サブスクリプションモデルのMAGELLANとトランザクションモデルのADVAが柱となり、強固な基盤が構築できたことも今回の資金調達につながった。

今後、サイカは調達した資金を人材採用に投資し、プロダクトと人材の掛け合わせによって事業を加速させていく計画だ。

オンライン広告のような形式でテレビCMを運用できる“運用型テレビCMサービス”については、「テレシー」やラクスルの「ノバセル」など複数のプレーヤーが生まれてきている。サイカのサービスも含めて、テクノロジーやデータを活用した「テレビCMの科学」は今後さらに進んできそうだ。