「我々は書店に通うような人たちに対して読み放題のサービスを提供しようとしているわけではありません。書店には来ない、スマートフォンで情報収集する人たちをターゲットにしています。出版社にとっては新しい市場ができる。これまで読み放題のサービスにコンテンツを出してこなかった岩波新書と組めたのはそれが理由です」(瀬尾氏)

メルカリCEO山田進太郎氏など著名経営者が支持

ローンチから約1年。瀬尾氏はSlowNewsの認知度はまだまだ低いと話す。会員数や売上の規模も公開していない。だが一方で、メルカリ代表取締役CEOの​​山田進太郎やZホールディングス代表取締役の川邊健太郎氏といった「著名経営者もSlowNewsを支持している」と瀬尾氏は言う。

「メルカリの山田さんは『“新しいこと”を考えるには想像力が必要。ビジネスを通じては知ることのできない、自分にとっては未知の世界を知るということは極めて重要だ』と話していました」(瀬尾氏)

2022年1月にはアプリ版も提供開始するなど、これまではユーザー体験の向上に注力してきたスローニュース。今後はユーザー基盤の拡大を目指し、コンテンツを拡充していく方針だ。その第一歩として、2月15日にはオリジナルの調査報道シリーズ「調査報道+」をスタート。同日には「【独自調査】DV避難者ら456人の給付が加害者側に! コロナ予算・給付金事業に浮かび上がる『不平等』の深層」というタイトルの記事を掲載した。

「調査報道+では、不正を指摘するだけでなく、深く掘り下げることによって社会課題の解決を目指し、議論を喚起していきます。従来の報道でターゲットにされてこなかった題材や資料に着目し、咀嚼に時間がかかる問題を丁寧に解き明かします」

「今後もコンテンツの充実を通じて、SlowNewsが目指す世界をユーザーに伝えていきたい。また、ユーザーとのコミュニケーションの機会も増やしたいと考えています」(瀬尾氏)