IFLP1号ファンドでは1〜5億円のレンジで出資していたが、新たに立ち上げる2号ファンドでは「5億円を目安に投資を行っていく」(和田氏)とのこと。2号ファンドの出資者には、中小企業基盤整備機構、三井住友銀行、山口フィナンシャルグループ、サントリーホールディングス、鈴與、グリー、ディー・エヌ・エー、ミクシィなどが名を連ねる。

「4年前、1号ファンドの出資者は、投資活動の強化を目的としたIT企業の割合が多かったのですが、2号ファンドは古くからある産業でCVCを立ち上げていたり、今後投資に力をいれていく予定があったりする企業の割合が多くなっています」

「IT企業がスタートアップに投資する流れは昔からありましたが、ここ数年で大手の事業会社がベンチャーファンドとの連携、スタートアップと早くからコンタクトを持つことの重要性を感じるようになっているのかな、と思います。そこが1号ファンドと2号ファンドの大きな違いになっています」(和田氏)

インキュベイトファンドが2020年に立ち上げた250億円規模のフラッグシップファンドを含め、独立系ベンチャーファンドの規模は大きくなり、重厚長大な産業への投資の割合が増えている。そうした中、IFLPが出資するファンドはシードに特化していることもあり、投資領域は参入障壁が比較的低いコンシューマー向けビジネスが多いという。

「少額の資本でチャレンジしやすく、若い起業家にもフレンドリーなセグメントが多いイメージです。そういう意味では、IFLPはチャレンジする裾野を広げるサポートに最適化したネットワークを構築できていると思います」(和田氏)

起業家と同じだけベンチャーキャピタリストの数も増やしていく

創業から継続して「個人で意思決定できるジェネラル・パートナーを増やす」ことを目的に、ファンド創業時のLP出資をおこなってきたインキュベイトファンド。多くのベンチャーキャピタリストを生み出してきた一方、起業家とのコミュニケーションや投資姿勢が問題視されたベンチャーキャピタリストも中にはいた。

そのベンチャーキャピタリストに対しては、不適切なコミュニケーションや投資姿勢が是正される見込みはないという判断からファンドは解散。「厳粛に対応した」と和田氏は語る。

冒頭、赤浦氏が語ったとおり、日本のスタートアップ・エコシステムが活性化していくためには起業家と同じくらい、彼らを支援するベンチャーキャピタリストの数を増やしていく必要がある。そうした点も踏まえて、IFLPの仕組みは非常に意義があるものに感じる。