このサービスでは許諾を得た上で“ドラレコを設置している小売事業者や物流事業者”などの車両の走行データを収集し、道路損傷箇所の検出などに役立てる。街中を走っている車両をリソースとして有効活用することで「そもそも職員が車に乗って街を走らなくても」道路のデータを取得できるようにするというアイデアだ。

実証実験の段階では、この仕組みを活用することで職員が発見するよりも1ヶ月以上早く異常に気付けたり、そもそも職員の点検では見つけられなかったような損傷を検知できた例もあるという。

4億円調達、道路に付属するインフラ検知への拡張目指す

このような取り組みが加速する中で、UrbanXではさらなる事業拡大に向けてANRI、東京大学協創プラットフォーム開発、三井住友海上キャピタルを引受先とした第三者割当増資により4億円の資金を調達した。

今後はインフラ管理が細かい案件ごとに別々の会社へ個別で委託されるのではなく、1つの事業者に包括的に委託されるようになっていくことも見越して、新たな事業にも取り組む計画だ。

修復工事を受注している建設会社向けのソフトウェアも開発することで異常検知から修復までを一気通貫でサポートする体制を整えるほか、電線や電柱、標識といった道路に付属するインフラの検知にも領域を広げていくという。

「自分たちが目指しているのは街の課題をテクノロジーを用いて解決すること。そのためにハードウェアとしての街を、ソフトウェア的に管理できるようにしていきたいと考えています。デジタルツインの実現もその1つの手段として位置付けていますが、まずは道路やそれに付属するインフラの管理をデジタル化することから始めて、街全体へと広げていく構想です」(前田氏)