日本の投資先として公表しているのはブロックチェーンゲームギルド「Yield Guild Games(YGG)」の日本支部となるYGG Japanのみだが、今後は国内の起業家への投資にも力を入れていく方針。すでに国内2号プロジェクトの支援も始めている。

Emoote代表取締役の熊谷祐二氏によると「日本からグローバルにやった方がいい領域、チャンスがあると思っている領域がいくつかある」とのことで、そのようなプロジェクトを中心にハンズオンに近いかたちも含めてサポートしていきたいという。

クリプトやWeb3のテクノロジーがエンタメの未来を作る

そもそもなぜアカツキがWeb3特化ファンドをやるのか。もともと同社は「世界をエンターテインする。クリエイターと共振する。」をミッションに掲げ、クリエイターやアーティストともタッグを組みながらエンタメ領域で事業を展開してきた。

「エンタメやメディアの歴史を踏まえた上で、クリプトやWeb3のテクノロジーがこれからのエンタメの未来を作るものであること、そしてクリエイターの方々の創作活動をエンパワメントする役割を担うことを確信し、投資活動を始めました」(熊谷氏)

Web3の業界は近年急速に進化を続けているが、特に人気ブロックチェーンゲームの「Axie Infinity」の台頭が熊谷氏にも大きな影響を与えたという。

Axie Infinityのイメージ。同サイトのスクリーンショット
Axie Infinityのイメージ。同サイトのスクリーンショット

「Axie Infinityの登場で幅広い人たちがクリプトに触れられるユースケースができました。その裏側ではトークノミクス(トークン経済圏)と言われる、トークンを使ったエコシステムが従来とはまったく違うかたちで設計されている。このエコシステムについての理解が深まった時に、これは今から本気で取り組まないといけないと感じました」(熊谷氏)

Axie Infinityというモデルケースができたことで複数のプレーヤーがそこを目指すようになり、この1〜2年はGameFiの領域が盛り上がった。現在はその概念をゲーム以外の領域にも拡張するようなかたちで、STEPNを代表するようにゲーム要素を取り入れたライフスタイルアプリが注目を集めるようになってきている。

「この領域の1つのトレンドは、Axie Infinityがベトナムから生まれ、それを裏から支えるYGGがフィリピンで誕生するといったように、アジアから新しいサービスが出てきていること。これが大きなパラダイムシフトだと思っています」(熊谷氏)

そのような背景からEmooteもシンガポールを拠点として、アジアを中心に投資をしている。