アカツキではこれまでも北米やインドを対象にしたエンタメ×テックファンドの「AET Fund」や、国内スタートアップの支援を目的とした「Heart Driven Fund」などを通じてスタートアップへの投資活動を行ってきた。

ただ変化のスピードが著しいWeb3の領域においては領域特化型で、最初からグローバルで投資をする必要がある。現在は熊谷氏自身もシンガポールに移住し、現地で活動をしている。

Web3領域の変遷  画像提供 : Emoote
Web3領域の変遷 画像提供 : Emoote

Emooteを率いる熊谷氏は起業家として複数のスタートアップの経営に携わり、スポーツテック事業を手がけるSkyBallをアカツキに売却。その後はHeart Driven Fundのヴァイスプレジデントなども務めた。

共同創業者でWeb3リサーチャーの“コムギ”こと久保田大海氏は、ビジネス書の編集者を経てcoindesk JAPANの創刊編集長を担っていた人物。アドバイザーとして業界ではMiss Bitcoinの愛称で知られる藤本真衣氏も加わっている。

STEPNを含む20以上のプロジェクトに出資、3つの領域に注目

Emooteでは2021年からグローバルでの投資をスタートさせており、支援先のプロジェクトは20件を超える。地域の内訳はアジアが50%、米国が40%、そのほかのエリアが10%。主にシードからアーリーステージのスタートアップを対象としており、出資額は日本円で4000万円(30万ドル)ほどを目安にしている。

Web3特化ファンドはトークン投資と株式投資の両方を行うのが現状グローバル基準となっている。Emooteもそれにならうものの、基本的にはほとんどがトークン投資であり、必要に応じて株式にも対応するというスタンスだ。

主要な投資先
Emooteの主要な投資先

代表的な投資先は2022年1月〜3月で売上33億円、FDV(希薄化後時価総額)が2兆円を突破したSTEPNのほか、BreederDAO(ブリーダーDAO)などがある。BreederDAOは新たなGameFiを発掘した上でNFTを育成し、ゲームギルドに提供するプロジェクトだ。GameFiエコシステムを支える存在としてa16zやDelphi Digitalなど著名VCからも投資を受けている。

一口にWeb3と言っても様々なプロジェクトが存在するが、Emooteとしては特に3つの領域に注目しており、その領域を中心に投資をしているという。

1つ目は「Web2×トークノミクス(トークン経済圏)」。まさにSTEPNがその典型例で、同サービスはランニングアプリにトークノミクスを組み合わせて新しいユーザー体験と経済圏を作った。このように「従来のエンターテイメントやメディア、ライフスタイル分野のサービスにトークンを組み合わせることで生まれる価値」には大きな可能性があるという。