なぜ、techtecはレアゾン・ホールディングスの傘下に入る決断を下したのか。また、どのように事業を拡大させていこうとしているのか。田上氏に話を聞いた。

トークン発行でユーザーのリテンションレートが4倍向上

チームラボでのインターンを経て、新卒でリクルートに入社した田上氏。学生時代からビットコインを購入していたこともあり、ブロックチェーンには昔から関心があったという。リクルート入社後はブロックチェーンに関するプロジェクトに関わらせてもらっていたが、「企業の中では時間がかかりそう」(田上氏)と判断し、起業することを決めた。

事業のテーマとして、田上氏が考えていたのは教育。「昔から教育に興味があった」(田上氏)と言い、そこにブロックチェーンを掛け合わせたら面白いのではないか、と考えた。

「当時はブロックチェーンや暗号資産について学べるサービスがなかったので、まずはそれらの基礎知識を学べるサービスをつくることにしました。“学習するほどトークンがもらえる”ようにしたのは、サービスのリリースから半年後のことです」(田上氏)

冒頭で述べたように、田上氏はアメリカでdAppsを筆頭にトークンエコノミーが盛り上がっていたことから、「今後日本でもあらゆるサービスにトークンが組み込まれるようになる」(田上氏)と考え、PoLにもトークンを組み込んだ。具体的にはPoLのカリキュラムを学習すれば学習するほど“PoLトークン”と呼ばれるものをユーザーに付与する仕組みにした。

ここで言うトークンは、あくまでサービス内での支払いに使えるポイントのようなもの。現状の日本の税制では、法人がトークンを保有していた場合、そのトークンは期末の時価評価で課税されるため多額の税金がかかってしまう。また、日本はトークンでの税金の支払いも認めていない。そのため、国内でトークンの発行は事実上できないに等しい。

「日本でトークンを発行すると課税対象になり、多額の税金を支払わなければいけなくなるため、事業の運営自体が厳しくなる。まずはポイントのようなもの“トークン”と呼び、それを発行してユーザーに付与する仕組みにしました」(田上氏)

PoL公式サイトのスクリーンショット
PoL公式サイトのスクリーンショット

日本の税制に引っかからない形でトークンを発行してみたところ、トークンを発行する前より後の方がリテンションレート(サービスの継続率や定着率)が大きく向上した。一般的なオンライン学習サービスの平均的な利用1日後のリテンションレートは5〜7%ほどと言われており、PoL自体も以前は利用1日後のリテンションレートは10%ほどだった。