それがトークン発行をしてみたところ、利用1日後のリテンションレートは40%にまで向上したという。

「この数字を見たときに、今後あらゆるウェブサービスにトークンが組み込まれるようになるという未来が確信に変わりました」(田上氏)

現在、PoLは暗号資産とブロックチェーンの基礎だけでなく、EthereumやAvalancheといった分散型アプリケーション開発のためのプラットフォームに加え、分散型ステーブルコインを作った最初のコミュニティ「MakerDAO」などについても学習できる。田上氏によれば、PoLトークンの保有者数は1万人を超える規模になっているという。

M&A後に目指す、Web3版Udemyの立ち上げ

約4年、PoLを運営してきた田上氏だが、現状のモデルが最適解だと考えているわけではない。ポイントのような形ではなく、きちんとトークンを発行し、Learn to Earn(学びながら稼ぐ)のモデルに本格的に挑戦したい、という思いをずっと抱えていた。

「会社として次のフェーズに行きたい、もっと大きな挑戦をしたい」──そう考えていたところ、エンジェル投資家を介してレアゾン・ホールディングスのCOOと知り合った。

レアゾン・ホールディングスは、「ドラゴンエッグ」や「ドラゴンスマッシュ」などのソーシャルゲームを開発するルーデル、広告の制作・分析・運用を手がけるアドレア、フードデリバリーサービスを手がけるmenuなどをグループ会社に持つホールディングス企業。ソーシャルゲームで得た収益を元手に新たな事業を立ち上げ、成長を遂げてきた。

同社が新規事業を立ち上げる際の考え方は、「すでにある事業よりも大きいことをやる」ということ。直近立ち上がったフードデリバリーサービス「menu」よりも大きい事業を立ち上げるとなると、大きく成長する可能性がある市場としてWeb3の領域が柱の1つになると考えていた。

「レアゾン・ホールディングスも今後Web3に大きく踏み込んでいこう、と考えていたそうです。それならばお互いが持っているアセットを活用する形で一緒にやった方が、よりスピーディーに事業を立ち上げられるのではないかと思いました」(田上氏)

結果的に、田上氏が『一緒にやりましょう』とM&Aの提案をし、それをレアゾン・ホールディングスが受諾する形で今回のM&Aが実現したという。

グループ入り後もtechtecの経営体制は変わらないが、会社自体はシンガポールに移し、今後はWeb3版Udemyのような新たな教育サービスの立ち上げに加え、レアゾン・ホールディングスのノウハウを活用し、GameFi事業の立ち上げにも取り組んでいく予定だという。