今後は機能開発を進めながら非IT系企業などより多くの顧客にサービスを届けていく計画だ。そのための資金として、フライルではALL STAR SAAS FUND、UB Ventures、TablyよりプレシリーズAラウンドで3億円を調達した。

顧客の声を手間なく集約、ユーザー目線のプロダクトを開発を後押し

フライル代表取締役CEOの財部優一氏。同社はZUU出身の財部氏などIT企業でプロダクト開発経験のある3人が共同で創業した
フライル代表取締役CEOの財部優一氏。同社はZUU出身の財部氏などIT企業でプロダクト開発経験のある3人が共同で創業したスタートアップだ

Flyleの特徴は、複数のチャネルに散らばっていた顧客からのフィードバックを効率的に集約できる点にある。

Slackで共有されている顧客からの機能要望、メールでやりとりされている各社の成約理由、Salesforce内の商談メモに書かれた顧客の課題感、Zendeskにたまっている失注理由──。各サービスと連携することで、さまざまな顧客の声を手間なく一元化できるのが強みだ。

複数のチャネルから顧客の声を統合・管理できるのが特徴の1つ
 

フライル代表取締役CEOの財部優一氏によると、顧客のフィードバックの収集にはスプレッドシートやSalesforceなどのツールが使われることが多い。その場合、どうしても労働集約型の業務になりがちで、顧客の数が増えるほど収集業務の負荷も増す構造になってしまう点が現場の課題となっていた。

また日本の場合は営業部門が強いことが多く、「顧客情報がビジネス部門のみに留まり、なかなか開発部門に入ってこない」といった悩みを抱えている企業も少なくないという。

機能開発案ごとにスコアリングし、優先順位づけの参考にすることができる
機能開発案ごとにスコアリングし、優先順位づけの参考にするための機能も搭載。各アイデアに対しては、その裏付けとして関連する顧客フィードバックを紐づけることができる

Flyleでは集めた顧客の声を基に、プロダクト開発の方針を整理するための仕組みも搭載。顧客の声を参照しながら機能開発の企画ができる機能や、開発の優先度を決める際に役立つスコアリング機能などを備えている。

「1つのツールを使うだけで、今まで業務プロセスを構築できていなかったプロダクトマネジメントのワークフローを簡単に構築できる点が(顧客から)選ばれる大きな理由になっています」

「フィードバックの管理や優先順位づけ、ロードマップの作成など多岐にわたるプロダクトマネジメンの業務の中の労働集約的な部分を効率化でき、属人的な業務については標準化できる。特に複数のプロダクトマネージャーが在籍し、チームで共通のプロセスで意思決定をしていくことが求められるフェーズで課題が大きくなり、Flyleを導入いただくケースが多いです」(財部氏)

開発ロードマップを表示することも可能
開発ロードマップを表示することも可能だ

これまではIT系の企業を中心に、ユーザベースやマネーフォワード、ディー・エヌ・エーといった上場企業からスタートアップまで100社以上にサービスを提供してきた。

ある企業ではスプレッドシートで管理していた顧客のフィードバックや機能開発の優先度づけなどをFlyleに切り替えることで、業務工数が約10分の1程度まで削減できたという。