舞台演出家として存在感を増す、小林香氏。この夏、「女性の演出家が起用されるのは極めて稀」と言われる帝国劇場で、東宝ミュージカル史を辿るメモリアルコンサートの演出を担った。大学では政治を学び、プロデューサー出身という異例のキャリアだ。
海外有名作品を多数手がけながら、「オリジナルミュージカル」にこだわり、毎年1作以上は創作することを自らに課す。母となってなお、挑戦の歩みを止めない小林氏の視線の先、そして原点を聞いた。
「これだから女性は」と言われないようにする責任感
──8月、東宝ミュージカルの祭典「THE MUSICAL CONCERT at IMPERIAL THEATRE」の構成・演出を手掛けられました。
日本におけるミュージカルの歴史をつくってきた代表的な劇場の歩みを感じていただける時間になるよう、1963年日本初演の『マイ・フェア・レディ』から始まって現在に至るまでの楽曲を並べて構成しました。
今回、演出の機会をいただいて改めて感じたのは、日本のミュージカル発展のために心血を注いできた先人たちがたくさんいらっしゃって、その仕事が脈々と受け継がれ、今を生きる私たちへとバトンが渡されているのだということ。敬意と感謝をもって舞台に挑まねばならないと身が引き締まる思いがしました。