学んだ結果、「やっぱり、この構造を変えられる可能性は芸術にあるんじゃないか」という思いはより強まりましたね。大学卒業後には上京して、演出家の謝珠栄さんに師事し、舞台演出家になるための勉強を始めました。
危機感が独立のきっかけに
──その後、26歳で東宝のプロデューサーになり、今につながるキャリアが開けていった。
はい。先生のもとを卒業してアルバイト生活を始めて1カ月ほど経った頃、私が演出家志望であることを知っていた方から「東宝に来ませんか」というお話をいただきました。
ただし、最初から演出助手の仕事が来たわけではなく、「プロデューサーの助手をお願いしたい」と。少し迷いはしましたが、「まだ何者でもない自分に大人の方々が期待をかけてくださるのなら、その流れに乗ってみよう」と決めました。流され過ぎてはいけないけれど、流れに逆らわないほうがいい時もあるんですよね。結局、7年間、朝から晩まで一生懸命プロデューサー業をやるという経験を経て、今があります。
──その経験はプラスになっていると思いますか。