Photo:Gettyimages/Hill Street Studios

世界にまで届くミュージカルをつくりたい

──プライベートでは2017年秋に出産。2歳の男の子の母であるという側面は、演出業にどんな変化をもたらしましたか。

心を決めるのが上手になったと思います。お迎えに行くタイムリミットがあるので、「今日は絶対にこのシーンを終わらせる」と決めてから稽古場に出かけるようになりました。隙間時間も無駄なく使い、時間管理の力はかなりつきましたね。家に帰れば母業で忙しく、いい意味で気持ちの切り替えが強制されるので、「あのシーンが…」とクヨクヨすることも減りました。

あと、役者に対して寛容になったと思います(笑)。特に男性に対しては完全に息子とシンクロして、「こんなにガタイもいいし、顔もかっこいいのに、甘えんぼなところもあるんだな。でも、そうだよね、赤ちゃんの時にそうだったもんね?」と包み込むような気持ちになれます(笑)。それに、子育てに比べたら稽古場なんて、話せばわかる大人たちの集団なので、なんでも乗り越えられるようなタフな気持ちになれますね。

最近は、「怒らない、でも諦めない」をモットーに稽古場に立っています。若い頃は先頭に立つ自分と比べて周りの熱量がついてきていないと感じると、つい焦りから怒ってしまっていたのですが、「怒らない」と決めてからは私も周りもやりやすくなったと思います。ただし、「諦めない」とセットです。納得できるまでは諦めず、しつこく粘ります。

──最後に、これから挑戦してみたい目標は?

海を越え、世界にまで届けられるようなオリジナルミュージカルをつくりたいですね。「誰も見たことがないもの」をつくって、世の中に向けて表現していきたい。これからも芸術が社会に役割を果たせるように、表現への挑戦を続けていきたいと思います。