毎回、コピー機に重い本を押し付けてスキャンボタンを押し、ひっくり返してはまた押し付けてスキャンボタンを押す……。そんな作業を何時間も繰り返さなくてはならず、効率の悪さが苦痛となり、もはやトラウマになっていた。

当時、書籍用のスキャナーはハイスペックな商業用のものがほとんどで、個人で負担できる金額ではなかったことも不満に感じていた。そこで、誰もが購入できる便利なスキャナーを開発したい。そんな思いから生まれたのが、CZUR TECHのオーバーヘッドスキャナーだ。

スキャナーは大きく3つに分けられるが、私たちの製品は日常生活のほとんどの利用シーンをカバーできるオールラウンダー型に分類される。

・裁断型(専門性の高いもの)
・オールラウンダー型(様々な日常シーンにも対応)
・スマホアプリ型(移動時等の利用や導入の簡易さ)

効率性だけ見るとスキャン専用機である裁断型の方がはるかにスキャンのスピードが早いが、利用シーンの広がりではオールラウンダー型の方が高く、どこでも使える導入の簡易さを考慮するとスマホアプリに軍配が上がる。

今はまだ競合製品のハードの精密性に敵わないが、CZUR TECH独自の強みを活かして差別化を図っていきたいと考えている。

ちなみに私たちの強みは主に2つある。画像処理のAI(人工知能)技術と、ハードとソフトの融合だ。アルゴリズム研究やソフトウェア開発チームを中国・大連に有しており、独自開発した「本の湾曲補正」機能はユーザーからの評価も高く、裁断しない本や雑誌に至っては後加工がほぼ必要の無いレベルでスキャン可能となっている。

また、徹底的にユーザーの声を意識することで、過去4年間で実施したアップデートの回数は通算100回以上。名刺などの複数対象一括スキャンは、ユーザーからのフィードバックによって機能の追加が実現した。

深圳にあるグローバルマーケティングチームが、製品の機能やデザインを考えながらハードとソフトの調整を行い、広東省・東莞(とうかん)の製造チームと連携して形にする。私たちは2013年に深圳で創業したが、実際に製品がリリースされたのは2015年。創業以来、研究や試作を繰り返しながら試行錯誤のモノづくりを行っており、その結果私たちのスキャナーは「使い勝手がいい」と評判も高く、何より社内にもファンが多い。

要求レベルの高い日本で認められる製品づくりを

現在、中国を除くスキャナーのグローバル市場は、アメリカ、日本を筆頭にヨーロッパや韓国が続いており、その中でも特に日本市場は重要度が高いと考えている。
総合評価がされる日本では製品の価格や性能はもちろん、操作性、マニュアル、梱包やカスタマーサポートに至るまで、全てにおいて製品の要求レベルが高く、日本のユーザー欲求を満たすことは私たちにとって、とても刺激的である。