急成長ECやD2Cの“影の立役者”ロジレスが5億円調達、商品の「自動出荷」実現で約300社に導入
 
LOGILESSのダッシュボード
LOGILESSのダッシュボード

出荷指示が自動化されることは、LOGILESSとタッグを組む倉庫事業者にとってもメリットがある。土日や深夜の時間帯でも注文情報が連携されるため、倉庫側は出社してからすぐに出荷作業に着手できる。

西川氏によると、従来はEC事業者から注文情報を受け取ってからでないと出荷作業をすることができなかったため、午後に出荷業務が集中することが多かったそう。LOGILESSは倉庫事業者の業務負荷の分散・軽減にも一役買っているため反響が良く、結果的に50社以上の倉庫事業者に活用されるまでになった。

高度なロジスティクスを後押し、280社が導入

連携する倉庫が広がれば、EC事業者はLOGILESSを通じて複数の倉庫を使い分けられるようになり、物流戦略のオプションも増える。

たとえば「配送地点が北海道の場合には東日本にあるA倉庫から、沖縄の場合には⻄日本にあるB倉庫から出荷」「常温商品はC倉庫から 、冷凍商品はD倉庫から出荷」などの出荷指示が可能。複数の倉庫を上手く使えば、配送コストや倉庫での商品管理コストを減らすことや、 配送のリードタイムを短縮することもできる。

「受注業務が大幅に削減されるほか、(物流倉庫にアウトソースすれば)出荷業務はそもそも必要なくなります。受注担当者を5人から1人に減らせたことで他の業務に人員を回せるようになった、深夜までやっていた出荷作業から解放された、配送コストの削減により年間数百万円のコスト削減に繋がったなど、特に業務効率化の面で大きな価値を感じていただけています」

「またこれまではデータの作成や加工などの作業が中心だったところから、最適な物流や自動化の方法を設計するための業務により多くの時間を使えるようになる。LOGILESSを使うことで受注・発注業務の中身も大きく変わります」(西川氏)

LOGILESSは月額の固定費と出荷件数に応じた利用料を組み合わせた物流業務効率化SaaSとしてEC事業者に有償でサービスを提供している。大手事業者などは多額の資金を投じてフルスクラッチで一体型のシステムを開発しているケースもあるが、LOGILESSは月額数万円から使えるため、小規模事業者でも手が届きやすい。

現在は月間の出荷件数が数百件〜数十万件規模の会社まで、280社の事業者が導入済み。直近ではD2C関連の事業者が増えているそうで、そのような企業の物流業務を支える形でロジレスも一緒に成長している状況だ。

きっかけは自分たちがECに挑戦して感じた物流の課題

ロジレスのメンバーと投資家陣。前列中央が代表取締役CEOである⻄川真央氏
ロジレスのメンバーと投資家陣。前列中央が代表取締役CEOである⻄川真央氏

ロジレスはP&G出身の西川氏、楽天出身の足立直之氏(COO)、同じく楽天出身の田中稔之(CTO)が3人で立ち上げた。