EC事業者の課題解決、カギは倉庫事業者と共同で使う「一体型システム」

上述したとおり、ロジレスではECのバリューチェーンにおける受注・出荷業務を効率化するプロダクトをEC事業者向けに展開している。要は「消費者がPCやスマホで商品を購入してから、EC事業者が荷物を準備して配送会社に手渡すまで」の工程をスムーズにするサービスだ。

LOGILESSはEC事業者が使うOMS(受注管理システム)と倉庫事業者が利用するWMS(倉庫管理システム)が一体となったサービス。両者が同じシステムを用いることで、注文情報がほぼリアルタイムで連携されるようになり、出荷作業の大幅な効率化や戦略的な物流戦略の立案に繋がるのが大きな特徴だ
LOGILESSはEC事業者が使うOMS(受注管理システム)と倉庫事業者が利用するWMS(倉庫管理システム)が一体となったサービス。詳しくは後述するが、両者が同じシステムを用いることで注文情報がほぼリアルタイムで連携されるようになり、出荷作業の大幅な効率化などに繋がるのが大きな特徴だ

ECの物流業務を効率化する仕組みとしては、EC事業者が利用する受注管理システム(OMS)と倉庫事業者が利用する倉庫間システム(WMS)が普及している。この2種類のシステムと物流代行サービスを活用することが「これまでの受注・出荷業務における最適解だった」というのがロジレス代表取締役CEOである西川真央氏の見解だ。

ただ、2つのシステムを利用する場合にも改善の余地がある。OMSとWMSが直接連携していない場合、ECの担当者は注文情報をシステム間で受け渡すためにCSVファイルなどの作成業務を毎日手作業で行わなければならない。

出荷件数や担当者の人数にもよるが、ある事業者はこの単純作業に毎日1時間ほど取られていて、大きな業務負荷になっていたという。

また2つのシステムに関してはそれぞれ20〜30種類ずつの製品が存在するため、どのようなシステムを組み合わせることが自社にとってベストなのか、その選定も難易度が高い。闇雲に物流業務をアウトソースすると、かえって全体の状況の見える化が難しくなることもあるという。

こうした状況を踏まえて「一連のプロセスを効率化するのであれば、そもそもシステムは2つも必要ないのではないか?と考えたのが最初のきっかけです」と西川氏はLOGILESSを開発した背景を話す。

西川氏たちが作ったのはEC事業者と倉庫事業者が共同で利用する「OMSとWMSが一体となったシステム」。両者が同じシステムを用いることで注文情報がほぼリアルタイムで連携されるようになり、出荷作業の大幅な効率化や戦略的な物流戦略の立案に繋がるのが特徴だ。

EC事業者が何もしないで済む“自動出荷”を実現

LOGILESを使うことで、具体的にどのような変化が生まれるのか。EC事業者にとって大きいのが通常の出荷業務を自動化できることだろう。

ECサイトで商品が売れたら、LOGILESSで受注・出荷のデータ処理を自動化し、その情報を基に物流倉庫が出荷作業を行う──。注文情報を共有するための作業がなくなるため、担当者の時間を別の作業に当てられる。

「総額1万円以上の購入者にはおまけをつける」「配送先住所が離島の場合は配送会社Aでの配送に変更する」といったように、特定の条件を満たす注文に対しては“通常とは別ルールの対応指示を付与”した上で、物流倉庫に自動で情報を連携する機能も実装。イレギュラーなものを除き、担当者の手間がかからない「自動出荷」を実現する。